核拡散防止条約(NPT)再検討会議のスラウビネン議長(右)=1日、ニューヨーク(EPA時事)
核拡散防止条約(NPT)再検討会議のスラウビネン議長(右)=1日、ニューヨーク(EPA時事)

 【ニューヨーク時事】ニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、最終日を迎えたが、ロシアの反対により最終文書案を採択できず決裂した。ロシアのウクライナ侵攻で世界の安全保障環境が急激に悪化する中、核軍縮に向けた合意形成に失敗し、「核なき世界」が一層遠のく結果となった。

 決裂は2015年の前回会議に続き2回連続。ロシア代表は文書案が「あからさまに政治的だ」と強調。「残念ながらこの文書案にはコンセンサスがない」と述べた。

 条約の履行状況や今後の行動指針をまとめた最終文書の採択に向け交渉は最後まで続けられた。既に核兵器の「先制不使用」政策採用を核保有国に促す記述が削除されるなど、妥協を重ね内容は後退していたが、ウクライナ侵攻などをめぐり議論はもつれた。それでも多くの国が土壇場での合意に望みをつないでいた。

 スラウビネン議長は25日深夜、これまでの議論を反映させた最終文書案を提示。26日午前は非公開で最終調整が行われていた。