[ウィーン 29日 ロイター] – 2015年のイラン核合意再建に向けた取り組みが続く中でも、イランがウラン濃縮プログラムを進めていることが、ロイターが29日に入手した国際原子力機関(IAEA)の報告書で分かった。

IAEAの報告書によると、中部ナタンズにある地下核施設にこのほど設置された高性能遠心分離機「IR6」のカスケードの1つでウラン濃縮が開始された。

ナタンズの地下施設には、複数のIR6で構成されるカスケード3つが設置されており、IAEAは報告書で「IAEAは8月28日にナタンズの地下施設で、最大5%まで濃縮するためにIR6のカスケードに最大2%まで濃縮されたウランが投入されているのを確認した」とした。他の2つのカスケードについては、1つは濃縮開始の準備中、もう1つにはいかなる核物質も投入されていないとした。

外交筋によると、IR6型分離機は最も先進的なモデルで、イランが利用を認められている第1世代の「IR1」と比べるとはるかに効果的に濃縮できる。

イランは1年以上前からナタンズの地上施設で最高60%までのウラン濃縮度を実施。濃縮度60%は兵器級に近いとされている。

イランは他の施設でもIR6を利用したウラン濃縮を拡大。先月にはフォルドゥにある施設で20%までのウラン濃縮を開始した。