[東京 8日 ロイター] – 岸田文雄首相は8日、看板政策「新しい資本主義」を前に進めるための総合経済対策を10月中に策定する考えを示した。対策内容を踏まえて「しかるべき時期に補正予算の編成について検討していきたい」と語った。防衛力の強化に向けて有識者会議を設置し、初回会合を9月下旬に開催することも表明した。官邸で記者団の取材に答えた。

岸田首相は、新しい資本主義を前に進め、国民の安心・安全を確保するための施策を「10月中にとりまとめる」と語った。閣僚への具体的な柱建ての指示はあらためて行う。臨時国会の開催時期については与党と協議をした上で確定していきたいとした。

年末に向けて「最重要課題の一つ」とする防衛力の強化に向け、有識者会議を設置する。首相は「総合的な防衛力の強化のあり方、防衛力の整備と経済力、財源との関係などについて高い見地から議論いただきたい」と狙いを説明した。

有識者会議のメンバーは現在調整中だとし、「国民的な議論をしっかり積み上げ、国民の理解を得ていきたい」と展望を語った。

<足元の物価高対策、住民税非課税世帯へ5万円給付>

政府は9日、物価・賃金・生活総合対策本部を開き、物価高騰への追加対応策を取りまとめる。岸田首相は対策の一環として住民税非課税世帯へ5万円を給付することも表明した。

輸入小麦の政府売り渡し価格の据え置きや、年末までのガソリン価格の抑制なども盛り込む。地域の実情に応じた支援を行うため「地方創生臨時交付金」について6000億円の新たな交付金を設ける。

岸田首相は各種施策を迅速に実施するため「今月下旬には新型コロナ対策などと合わせて3兆円半ばのコロナ・物価予備費を措置する」と語った。

<旧統一教会との関係調査結果、「重く受け止め」>

岸田首相は、自民党所属の国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係に関する調査結果について「重く受け止めている」と述べた。

首相は、重要なのは今後は社会的に問題が指摘されている団体と関係を持たないことを自民党の基本方針とし、それを担保するチェック体制を強化すること、問題団体による被害の防止策や被害者の救済にしっかりと取り組むことだと語った。こうした取り組みを徹底することを通じて、自民党への信頼回復へ努力していきたいとした。

自民党の茂木敏充幹事長は同日、所属する国会議員379人のうち、旧統一教会と何らかの形で接点があったのは179人との結果を発表した。調査では、教団や関連団体の会合に出席したことがあるかどうか、会費や寄付金を支払ったり選挙支援を受けたかどうかなどを聞いた。

(杉山健太郎 編集:田中志保)