インドネシア初となる高速鉄道計画で中国製列車を視察するジョコ大統領(左)=10月13日、西ジャワ州バンドン(EPA時事)
インドネシア初となる高速鉄道計画で中国製列車を視察するジョコ大統領(左)=10月13日、西ジャワ州バンドン(EPA時事)

 【ジャカルタ時事】20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が15日から開かれるインドネシアでは、首都ジャカルタを起点とする高速鉄道の工事が来年の開業を目指して進められている。日本との激しい受注競争の末に中国が建設を請け負ったもので、当初はG20サミット時に中国の習近平国家主席が試乗するとされていたが、先月末、オンライン視察に切り替えられた。

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 高速鉄道の開業が予定されているのはジャワ島西部で、これまで在来線で約3時間半かかっていたジャカルタと西ジャワ州の主要都市バンドン間約140キロを最短35分で結ぶ。最高速度は時速350キロだ。

 習氏のG20サミット出席が確定していない時期から、インドネシアのジョコ大統領と一緒に試乗すると言われてきたが、先月あたりから雲行きが怪しくなっていた。中国で製造された車両は9月初旬、インドネシアの港に到着していたものの、「点検用車両を走らせるというような話も出て来ている」と関係者から漏れ伝わっていた。

 先月末には、インドネシアのルフット海事・投資調整相が、オンラインで両首脳が今月16日に視察すると発表。サミット閉幕日に、G20開催地のバリ島から画面越しに様子を見ることになった。

 建設工事は2016年から始まったものの、用地買収に手間取った上、新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり、開業時期は何度も延期されてきた。

 試乗中止にインドネシア側は落胆。ある関係者は「ジャカルタにも立ち寄らないとは予想外だ」と話した。