各州の人工妊娠中絶の権利について地図を掲げるハリス米副大統領=10月28日、東部ペンシルベニア州(EPA時事)
各州の人工妊娠中絶の権利について地図を掲げるハリス米副大統領=10月28日、東部ペンシルベニア州(EPA時事)

 【ワシントン時事】8日に投開票された米中間選挙では、人工妊娠中絶の権利の是非を巡る問題が民主党の健闘に貢献した。五つの州では中間選挙に合わせて中絶の規制や権利拡大を問う住民投票が行われ、いずれも擁護派が勝利した。

「物価高」「中絶」に懸念 民主党にも一定の支持―米中間選挙

 米主要局の出口調査によると、投票で最も重視した問題として「中絶」は27%で、「インフレ」の31%に次ぐ関心の高さを示した。中絶を最も重視した有権者の76%は民主党に投票した。

 連邦最高裁は6月の判決で、中絶の憲法上の権利を否定。合法性の判断は各州に委ねられ、南部の保守的な州を中心に、26州が事実上の禁止を含む厳しい規制を設けた。出口調査では61%が判決に「不満」もしくは「怒りを感じている」と回答し、60%が中絶は「合法化されるべきだ」と答えた。

 バーモント、ミシガン、カリフォルニアの3州は住民投票で中絶の権利を保障する州憲法改正案を提示し、いずれも可決された。保守的で共和党支持の傾向が強いケンタッキー州では、中絶の権利を認めない州憲法改正案が諮られたが、否決。モンタナ州は取り出された胎児が生存していた場合、医療機関にケアを義務付ける案を示し、否決された。