• 野村証の賃上げ率は過去数年の平均3%程度をやや上回る水準に
  • 大和証券グループ本社や第一生命保険も賃上げ、初任給上げる動きも

野村ホールディングス傘下の野村証券は7日、2023年度に例年を上回る賃上げを実施する方針を明らかにした。物価上昇や人材獲得の競争激化を踏まえたという。賃上げの動きは証券業界に加え、生命保険会社や銀行など金融機関の間でも広まってきた。

  野村証の賃上げは役員を除く全社員約1万4450人が対象。広報担当者によると、同社では以前から業績に応じた給与体系となっており、一律のベースアップは行っていない。過去数年、評価や昇格による賃上げは平均3%程度で、このうち主に20ー30代の非管理職に限れば同6.2%程度で推移していた。23年度はこれらの水準をやや上回る見込みだという。

     昨年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比4.0%上昇し、41年ぶりに4%台に達した。岸田文雄首相はインフレ率を超える賃上げの実現を企業に求める考えを示している。物価高への対応に加えて、優秀な人材を確保するためにも賃上げを実施する動きは広まっている。

      大和証券グループ本社は4月から国内のグループ社員約1万3000人を対象に、基本給を平均4%程度引き上げる方針。賃上げは2年連続となる。 第一生命保険も4月から社員約5万人に対して平均5%の賃上げを実施する意向。内勤職と呼ぶ約1万人の社員に対するベア実施は28年ぶりとなる。

     また、三井住友銀行は4月に入行する新卒の初任給を5万円引き上げる方針のほか、みずほフィナンシャルグループ(FG)も24年4月入社の新卒初任給の引き上げを検討している。それぞれの広報担当者がブルームバーグの取材に答えた。

     全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は先月の記者会見で、銀行業界の賃上げは各行の経営状況や戦略により決定されるものとした上で、三菱UFJ銀としては「中長期的な処遇改善とインフレ対応の重要性を十分認識しており、そうした観点を踏まえ、労使協議に臨んでいく」と述べた。 

     金融庁が全国の地方銀行に対し、事業の持続可能性を高めるため人材への投資が重要であると伝え、賃上げなどを検討するよう働き掛けたことも明らかになっている。

金融機関でも広まる賃上げ

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