[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日発表した2月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が6.0%と、前月の6.4%から減速し2021年9月以来の穏やかな伸びになった。 

しかし、家賃や食品の根強い上昇を背景になお高水準で推移しているほか、米シリコンバレー銀行の破綻などを受け、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ対応で難しい舵取りを強いられることになる。

CPI統計を受け、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、米連邦準備理事会(FRB)が来週と5月にそれぞれ0.25%ポイントの利上げを決定するとの見方が織り込まれた。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「FRBにとってインフレの粘着性が高すぎることが示されている。現時点で、来週は0.25%ポイント利上げが検討されている公算が大きい」としつつも、「FRBは根強いインフレと金融不安定の板ばさみになっている」と述べた。

ハリス・フィナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は「FRBは現在の一連の利上げが根付くかを確認するためにインフレをやや許容し利上げを停止するか、それとも利上げを継続して自らの政策決定によって引き起こされる金融不安に対応するかを選ぶことになる」と述べた。

前月比では0.4%上昇。前月の0.5%上昇から鈍化した。家賃や宿泊費などが上昇の7割以上を占めた。

前年比、前月比ともにロイターがまとめたエコノミスト予想と一致した。

食品は前月比0.4%上昇した。家庭で消費される食品の価格は0.3%上昇と、2021年5月以降で最小となった。

アルコール以外の飲料は1.0%上昇。野菜・果物が小幅上昇する半面、肉類は下落、卵は6.7%下落した。

ガソリンは1.0%上昇。一方、天然ガスは8.0%下落と、06年10月以来の大幅な下落となった。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比上昇率が0.5%で、前月の0.4%から若干加速し、昨年9月以来の大幅な伸びとなった。一方、前年比は5.6%から5.5%にわずかに減速し、21年12月以来の小幅な伸びにとどまった。

コア指数のエコノミスト予想は、前月比0.4%上昇、前年比5.5%上昇だった。

持ち家の帰属家賃は0.7%上昇と、前月の伸びと並んだ。

シット・フィクスト・インカムアドバイザーズのシニアポートフォリオマネジャー、ブライス・ドティ氏は「住宅コストは下落しているが、時代遅れの賃料を使用するという欠陥のある方法により、きょうのデータでは住宅コストが再び大きく上昇するというばかばかしい結果になっている」と言及。「実際には賃料および住宅価格は下落しており、コアCPIの前年比の伸びは3.5%近くで推移している」と述べた。

ホテルなどの宿泊費が上昇したほか、航空運賃は4カ月連続の下落後に6.4%上昇となった。

サービスは0.5%上昇。前月は0.6%上昇だった。家賃を除くサービスは0.1%上昇し、前月の0.6%上昇から鈍化した。

エコノミストの試算によると、当局者がインフレ抑制の進捗を測る上で注目している住宅以外のコアサービスは0.5%上昇。1月は0.4%上昇だった。

中古車・トラック価格は8カ月連続で下落。一方、衣料品や家庭用品などは上昇した。

FHNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「たとえFRBが今後1━2回の会合で市場を沈静化させる必要があったとしても、FRBの行動を維持する程度に十分なインフレが存在するのは明確だ」と述べた。

オックスフォード・エコノミクスの米国チーフエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「インフレは依然としてFRBの苦痛の種になっており、2月のCPIは0.25%ポイント利上げというわれわれの基本シナリオをサポートしている」とした。

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▽米CPI:識者はこうみる<ロイター日本語版>2023年3月14日11:34 午後