• UBSがクレディ・スイス買収へ、FDICがSVB解体に動き出す
  • シグネチャー銀に買い手候補、バフェット氏関与、今週FOMC
記者会見に臨むパウエルFRB議長(2023年2月1日) Photographer: Al Drago/Bloomberg

重要ニュースが盛りだくさんの忙しい一週間が始まりました。中でも注目されるのが22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)。銀行セクターの動揺がどの程度考慮されるのかという疑問には、前回会合の時点でどれほど問題を把握していたかがヒントになり得ます。議事要旨には「金融の安定性に関する討議の中で、幾人かの参加者は金利上昇に伴う金融システムのぜい弱性を話し合った」とあり、具体例の一つに「一部銀行の証券ポートフォリオにおける大規模な含み損の影響」が挙がっています。これこそシリコンバレー銀行(SVB)を破綻に追い込んだ問題の一つです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

歴史的

スイスの銀行大手UBSグループは、同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意した。世界の金融市場に広がる恐れがあった信用危機を食い止めようと、スイス政府が歴史的な買収を仲介した。買収は30億スイス・フラン(約4300億円)の株式交換になる。クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億スイス・フラン。買収額はこれを大きく下回る。1856年設立のクレディ・スイス買収はスイスのみならず、世界の金融業界に新たな歴史を刻む重要イベントになる。同行はここ数年、一連の損失や不祥事、幹部交代、訴訟といった問題が相次いでいた。財務の健全性に対する不安が強まり、昨年10ー12月で1000億ドルを超える顧客資金が流出。40億フランの増資後も資金流出は続いた。

解体

破綻したシリコンバレー銀行(SVB)を巡り、連邦預金保険公社(FDIC)は解体に向けて動いていることが明らかになった。受け皿銀行の入札期限は当初19日だったが、適切な買い手が見つからず、24日に延長されたという。FDICは現在、同行を少なくとも2つに分割して売却することを模索。SVBプライベート・バンクの入札は22日までに行う予定だという。最終決定はされておらず、売却プロセスのスケジュールや構造は変わる可能性がある。

今週発表か

ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は破綻したシグネチャー・バンクの買収で合意を目指していると、事情を知る複数の関係者が明らかにした。今週中にも連邦預金保険公社(FDIC)が合意を発表する可能性があるという。非公開の情報のため、関係者らは匿名で話した。最終決定はまだで、交渉が決裂する可能性もあるという。NYCB、およびFDICの担当者はコメントを求めるメッセージに返信していない。

オマハの賢人

米SVBの経営破綻など同国地銀の危機連鎖を背景に、投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いる資産家ウォーレン・バフェット氏がバイデン政権高官と接触していることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。一連の話し合いでは、バフェット氏が米地銀セクターに何らかの方法で投資する可能性が議論の中心となっている。ただ、バフェット氏は現在の混乱全般についても勧告や助言を行っているという。バフェット氏には過去に何度も、危機に陥った銀行の救済に乗り出し、投資家として抜群のステータスと資金力を武器に信頼回復につなげた実績がある。

予測困難

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いるFOMCは今週、インフレ抑制のための利上げを続けるか、米地銀破綻の連鎖を受けた市場の混乱を背景に利上げを一時停止するかという、極めて困難な判断に直面する。SVB破綻とその影響が波及する前の段階では、0.5ポイントの追加利上げが見込まれていた。しかしその後の金融市場のボラティリティーの高まりを踏まえ、FRBウオッチャーの多くは今週の会合での利上げ幅が0.25ポイントになると予想しているほか、当局が利上げを一時停止するとの観測も一部で浮上している。最新の四半期経済予測と、会合後のパウエル議長の記者会見も注目される。

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