[香港/北京 27日 ロイター] – 1年以上にわたって海外に滞在していた中国電子商取引大手アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が中国に帰国した。中国経済を活性化したい当局者の狙いが背景にあるとの見方が出ている。 

香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は27日、関係筋の話として、馬氏らが設立した杭州市の学校「杭州雲谷学校」を同氏が訪問したと伝えた。アリババはSCMPを所有している。

同校のSNS(交流サイト)アカウントによると、フィンテック大手アント・グループの創業者でもある馬氏は、同校との間で教育や人工知能(AI)対話ソフト「チャットGPT」技術について話し合った。またいつか教職に戻りたいと語ったという。

2人の関係者は馬氏が先週、帰国したと明らかにした。今回どれくらいの期間、中国に滞在する予定かは確認できていない。

同紙によると、馬氏は中国に戻る前には香港で友人に会ったり、「アートバーゼル」を訪れたりした。

北京云一資産管理のZhang Zihua最高投資責任者(CIO)は馬氏の帰国について、インターネット業界のセンチメントを押し上げるとの見方を示した。

「中国新指導部が経済発展におけるプラットフォーム企業の位置付けと重要性を再検討していることを意味するからだ」とし「プラットフォーム企業、インターネット業界に対するこれまでの引き締め的な政策は調整されることが予想される」と述べた。

アリババ株は報道を受けて一時4%以上値を上げたが、その後は上げ幅を縮小した。

中国当局は最近、民間企業に対する取り締まりを緩和し支援する意向を示しているが、馬氏が海外にとどまっていることが信頼回復の妨げになっているとの声が国内の起業家や投資家から出ていた。

李強首相はこうした状況を認識しており、昨年末から馬氏に帰国を要請していたと5人の関係者がロイターに明らかにした。馬氏が日本に滞在している間に同氏の仕事仲間などを通じて働きかけたという。