▽米CPI、4月は前年比+4.9% 2年ぶりに5%下回る<ロイター日本語版>2023年5月10日10:03 午後

[ワシントン 10日 ロイター] – 米労働省が10日発表した4月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比の伸び率が4.9%と2年ぶりに5%を下回り、2021年4月以降で最小となった。3月は前年比5.0%上昇だった。米連邦準備理事会(FRB)が注目している住宅以外のコアサービス価格の伸びも鈍化し、FRBが6月にも利上げを停止する可能性を示唆した。もっともCPIは前月比で0.4%上昇し、伸び率は前月の0.1%から加速。ガソリン価格や家賃が上昇した。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は前月比0.4%上昇、前年比5.0%上昇だった。

BMOキャピタルのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「今回のCPIにはFRBのタカ派とハト派の双方にとって材料となる要素が少し含まれている」と指摘。「コアインフレの伸びは依然として大きく、短期的な利下げ観測を後退させるだろうが、サービスインフレが冷え込んでいる兆候は、6月または年内の利上げ停止を裏付ける」と述べた。

バンク・オブ・ザ・ウエストのチーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は、今回のCPIは「FRBが6月の利上げ停止を真剣に検討する根拠となるが、目先の利下げを支持するものではない」とした。

食品価格は2カ月連続で横ばい。家庭で消費される食品の価格は0.2%下落した。3月は0.3%下落していた。2カ月連続の下落は19年7月以降で初めて。果物や野菜、肉、魚、卵の価格が下落した。

牛乳価格は2.0%下落と15年2月以降で最大の下げだった。

ガソリン価格は3.0%上昇。3月は4.6%下落していた。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による減産発表を受けた。

一方、天然ガス価格は4.9%下落。電気料金も2カ月連続で下落した。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比上昇率が前月と同じく0.4%。中古車・トラック価格が4.4%上昇した。中古車・トラック価格が上昇に転じるのは昨年6月以降で初めて。財のコア価格は3月の0.2%上昇から0.6%上昇に加速し、22年半ば以来の大幅な伸びを記録した。

持ち家の帰属家賃は2カ月連続で0.5%上昇した。

サービス価格は0.2%上昇。3月は0.3%上昇だった。航空運賃が2.6%、ホテルなどの宿泊費が3.0%それぞれ下落した。住居費関連を除くサービスは0.1%上昇。前月は横ばいだった。娯楽サービスや個人向けサービスは上昇した。

エコノミストの試算によると、当局者がインフレ抑制の進捗を測る上で注目している住宅以外のコアサービス価格は0.1%上昇と20年7月以降で最小の伸びとなった。3月は0.4%上昇だった。

コア指数の前年比上昇率は5.5%。前月は5.6%だった。

ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「進展は急速というよりも漸進的」と指摘。「インフレの傾向が正しい方向に進んでいるように見えたとしても、政策当局者が任務完了を宣言する準備が整うまでには、さらに大幅な進展が必要だろう」と述べた。

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