[レポサビッチ(コソボ) 29日 ロイター] – コソボでセルビア系住民らのデモ隊と警察の衝突が起き、鎮圧に乗り出した北大西洋条約機構(NATO)平和維持部隊の兵士約25人が負傷した。

デモ隊と衝突したNATO軍兵士らはコソボ北部の3市庁舎周辺に非常線を張り、警戒に当たっていた。

NATOのコソボ治安維持部隊(KFOR)は暴力を非難。声明の中で、「群衆の最も活発な一角に対抗していたイタリアとハンガリーのKFOR兵士数人がいわれのない攻撃を受け、発火装置の爆発により負傷した」とした。

ハンガリーのクリストフ・サライ・ボブロブニツキー国防相は、同国兵士7人が重傷を負い、治療のためにハンガリーに搬送されると述べた。また兵士20人が負傷したという。

コソボ全体ではアルバニア系住民が人口の90%以上を占めるが、北部のセルビア系が多数派の地域でセルビア系住民が市長選をボイコットし、アルバニア系の市長が誕生したことから、緊迫した状況が続いている。

隣国セルビアのブチッチ大統領は同国軍に最高度の警戒態勢を取るよう指示している。

ブチッチ氏はセルビア系の52人が負傷し、このうち3人が重傷を負ったと述べた。

コソボのオスマニ大統領は、ブチッチ氏がコソボを不安定化させていると非難。「セルビア系の非合法組織が犯罪組織となり、コソボの警察、KFOR、ジャーナリストを攻撃している。コソボ北部を不安定化させるというブチッチの命令を実行する者は正義に直面しなければならない」とツイッターに投稿した。

ブチッチ氏は、コソボのクルティ首相が緊張を作り出していると非難。コソボのセルビア系住民に対し、NATO軍兵士との衝突を避けるよう呼びかけた。