[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 25日 ロイター] – 米シカゴ大学などの研究班は25日、インフレを鈍化させようと中央銀行が政策金利を引き上げてモノ(財)やサービスの需要を冷やすことは、長期的には経済を強化するための技術革新への投資を損なう恐れがあるとの研究結果を発表した。米西部ワイオミング州でこの日始まった米連邦準備理事会(FRB)の米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で論文を報告した。

シカゴ大ブース・ビジネス・スクールのエコノミスト、ユエラン・マー氏とライプニッツ金融研究所(ドイツ、SAFE)のエコノミスト、カスパー・ツィンマーマン氏は、金融引き締めのために政策金利を予想外に1%ポイント引き上げた場合、企業の研究開発費を最大3%減らし、ベンチャーキャピタルの支出が25%減少し、「重要」とされる技術の特許が9%減ったことを突き止めた。

5年後の経済の総生産は、予想外の利上げをしなかった場合よりも1%低かった。この結果は中銀が短期的にインフレ抑制に力を入れることで、いかに「経済の生産能力に持続的な影響を及ぼしうるか」を示す証拠だと指摘した。

エコノミストや中銀当局者は通常、金融政策を生産とインフレを安定させるための短期的な手段と見なしている。経済が低迷している際には金融緩和を進め、物価上昇が加速し始めた際には借入コストを上げる。

これに対し、論文の執筆者は金融引き締めによる需要への打撃は企業の技術革新に対する意欲を減退させ、金利上昇はより安全な投資への魅力を高め、ベンチャー企業の資金調達の原動力となるようなリスク選好の投資に対する意欲を減退させる可能性があるとの見方を示した。