呆れてものが言えないとはこのことか、4月に発生したダイハツの安全性検査にまつわる不正について社内調査を行なっていた第三者委員会が20日、調査結果を発表した。その結果、新たに174件の不正が発覚、国土交通省は今朝同社への立ち入検査を開始した。嫌疑は道路運送車両法違反だという。読売新聞によると「最も古い不正は1989年で、2014年以降に増えた。不正の対象はこれまでの6車種から64車種(開発中・生産終了を含む)に拡大。ダイハツが生産して他社ブランドで販売する車両も含まれ、親会社のトヨタ自動車が22車種、SUBARU(スバル)は9車種、マツダは2車種だった」とある。技術大国を自称する日本。大手企業で頻繁に起こる不正事件。空いた口が塞がらないというか、ほとほとうんざりする。原因は何か?

ネットで主要メディアのニュースをチェックしてみた。

毎日新聞によると、調査報告書は不正の背景に「行き過ぎた短期開発重視の社内風土がある」と指摘している。委員長を務めた弁護士の貝阿弥誠(かいあみ・まこと)氏は記者会見で、「不正行為に関与した従業員は経営の犠牲になったとも言え、責められるべきは経営幹部だ」と指弾した。その通りだろう。世の中で起こる不正の大半は経営幹部にその責任はある。新たに見つかった不正は174件。内訳は試験担当者による意図的な実験装置の改変が28件、虚偽の書類記載が143件、データの捏造が3件となっている。同紙によると「短期開発は他者との差別化をはかる『ダイハツらしさ』の一環だ」という。それが昂じて現場には、「過度にタイトで硬直的な開発スケジュール」が押し付けられたようだ。日本を覆っていたデフレ経済の影響もある。コスト削減を同時に押し付けられた現場に“逃げ道”はなかったのだろう。

奥平社長(トヨタ出身)の1問1答が読売新聞に載っている。「認証業務の現場が困った時に、声を挙げられず苦悩していることに心が至らず、猛省している」と反省の弁を述べている。現場の状況を理解している点は評価できる。問題は次の一問一答だ。「不正車に乗り続けても安全か」という記者の質問に同社長は次のように答えた。「社内で安全性を再確認した結果、今回の不正により、乗り続けて問題がある事象は発生しなかった」(読売新聞)。なになに?これが事実なら、にわかに別の疑念が湧いてくる。不正を働いても安全性に問題がない認証検査ってなに?監督官庁の国土交通省も現場の実態を全く理解していないのではないか?役所の都合で“検査のための検査”が義務付けられている可能性はないのか?悪いのは経営陣だけなのか?疑念がどんどん広がっていく……。

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