▽米1月雇用35.3万人増と予想大幅に上回る、賃金の伸び約2年ぶりの高さ<ロイター日本語版>2024年2月3日午前 4:25 GMT+9

米1月雇用35.3万人増と予想大幅に上回る、賃金の伸び加速

[ワシントン 2日 ロイター] – 米労働省が2日発表した1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比35万3000人増と、伸びは市場予想の18万人を大幅に上回った。賃金も約2年ぶりの上昇率を記録した。労働市場は勢いを維持しており、米連邦準備理事会(FRB)が市場が現在見込んでいる5月の利下げに踏み切るにはハードルが高い可能性がある。

2023年11・12月分は計12万6000人増に上方改定された。

失業率は3.7%だった。12月も3.7%だったが、新たな人口推計が家計調査に組み込まれ、そこから失業率が算出されているため、直接的な比較はできない。失業率は2年連続で4%未満にとどまり、過去50年超で最長。

FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は、パウエルFRB議長が今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で述べたように「FRBが力強い雇用の伸びを望んでいることを踏まえると、今回の雇用統計を受け、FRBが利下げを思いとどまるとは思わない」と指摘。 同時に「利下げを急ぐことを後押しするものでもない」と述べた。

底堅い経済と力強い労働生産性により、企業による新規採用や雇用維持が促進された可能性がある。雇用の伸びは引き続き、労働年齢人口の伸びを維持するのに必要な月間約10万人を上回っている。

年次ベンチマーク改定に伴い、23年3月までの12か月間の雇用者数の伸びは当初発表から計26万6000人下方改定された。しかし23年通年では計310万人増と、ベンチマーク改定前の270万人増から上方改定された。

Nonfarm payrolls
Nonfarm payrolls

時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇と、前月の0.4%上昇から加速し、22年3月以来の大幅な伸びとなった。

前年同月比でも4.5%上昇。12月は4.3%上昇だった。前年比での賃金の伸びは依然コロナ禍前の平均、および大半のFRB当局者がインフレ目標と一致すると見なす3.0─3.5%のレンジを大きく上回っており、3月の利下げ開始は早すぎるという見方を裏付けている。

バイデン米大統領は、米経済が24年に入っても勢いを維持している兆候を示唆する統計を歓迎し、「米経済は世界で最も強い」と述べた。

金融市場では、FRBが4月30日─5月1日の会合で利下げに着手する確率が60%を下回った。雇用統計発表前は約90%だった。

1月の雇用は業種別では、専門職・ビジネスサービスが7万4000人増、ヘルスケアが7万人増、小売が4万5000人増、製造が2万3000人増、政府が3万6000人増。人材派遣は3900人増と、22カ月ぶり増加に転じた。

建設や運輸・倉庫、レジャー・接客なども増加。一方、鉱業は6000人減となった。

週平均労働時間は34.1時間と、0.2時間減少した。コロナ禍を受けた景気後退期を除くと、これは10年6月以来最短。冬の嵐の影響が指摘されている。

労働参加率は62.5%で変わらず。

経済的理由によるパートタイム労働者数は小幅増加した。

JPモルガンのチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「総じて労働市場は引き続き非常に堅調で、経済は十分な前進の勢いを備えて24年のスタートを切った」と述べた。

また、国際貨物輸送大手の米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)(UPS.N), opens new tabが最近発表した1万2000人の削減計画など、一部企業は人員削減に動いているものの、LPLファイナンシャルのチーフコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「近年の人員削減の大半は需要低迷ではなく、コスト削減によるもの」とし、「これは、マクロ的な逆風や成長期待に対する不確実性にもかかわらず、企業が良好な状況にあることを意味する」と述べた。

Inflation gauges
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