- 17日遅くまでに少なくとも8隻のタンカーが海峡に向かう動き確認
- 「運航環境は引き続き厳格に管理、デリケートな状況続く」との声
イランが17日、ホルムズ海峡は全ての商船に開放されていると表明したことを受けて、一部の原油タンカーが同海峡に向かい始めた。ただ、業界団体が慎重姿勢を促す中、船主やトレーダーは海峡の状況について一段の明確な情報が必要だとの認識を示した。
イランのアラグチ外相は「あらゆる商船のホルムズ海峡通航を完全に開放すると宣言する」とX(旧ツイッター)に投稿。イラン当局が「すでに発表した調整済みの航路」を通航できると説明した。
トランプ米大統領はその直後、ホルムズ海峡は「完全に開放され、全面的な通航の準備が整っている」と自身のソーシャルメディアに投稿。ただし、米国によるイラン船舶への封鎖は維持されるとした。
イランのメディアは、「敵対」国に関連する船舶や貨物の通航は認められないと報道。通過には当局との事前調整が必要になるほか、米国による自国船舶への封鎖が続く場合には海峡を閉鎖すると伝えた。
原油市場はこうした一連の発信に翻弄(ほんろう)される展開となった。海峡が全面再開となれば、ペルシャ湾内に滞留している数百万バレル規模の原油や燃料の輸送が可能となり、域内の生産者は停止していた生産の引き上げに着手できるようになる。事実上の海峡封鎖により、原油や燃料の輸送は4億バレルを大きく上回る規模で失われたほか、天然ガスの貨物輸送にも広範な影響が及び、価格を押し上げるとともに世界経済の成長を圧迫してきた。
ブルームバーグは船主や代理店、ブローカー、トレーダーなど十数人に取材した。大半は当面、様子見の姿勢を取る意向を示した。世界最大の国際海運団体であるボルチック国際海運協議会(BIMCO)は、海運会社に同海域の回避を検討するよう促した。
ただ、ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによれば、17日遅くまでにペルシャ湾内の少なくとも8隻のタンカーがホルムズ海峡に向かっている様子が確認された。
ドバイ北方で停泊していた5隻は同日午後までに既に海峡内へ進入しており、さらに3隻も同海峡に向けて東進していた。ただ、これらの船舶は距離が離れているため、ここ数週間で主流となっているイラン領海内の承認航路を通るのかは判断できない。また、実際に通過を意図しているかどうかも不明だ。紛争下では、海峡に向けて航行しながら到達後に停止するケースもこれまでに見られている。

ドバイで多くの船主と取引するシャラフ・シッピング・エージェンシーのディレクター、ファルハド・パテル氏は、「市場は全面的な確信には至らず、慎重な楽観にとどまるだろう」と指摘。「今回の動きは船舶往来の一部回復やエネルギー輸送の当面の圧力緩和につながる見通しだが、運航環境は引き続き厳格に管理されており、非常にデリケートな状況が続いている」と述べた。
同地域では航路制限や検査、並行した取り締まり措置が行われており、現時点で通常の取引環境への回帰には至っていないとパテル氏は語った。
今回のイラン発表後数時間の時点で、航路が本当に安全で完全に開放されているのか先陣を切って確かめたいという者はいないと一部の船主らは話していた。「氷の上から最初に海に飛び込み、水温を確かめるペンギンになりたいだろうか」と1人は問いかけた。
ペルシャ湾内で足止めされている原油および石油製品は少なくとも1億3500万バレルに上ることが、船舶追跡データで示されている。これには、船舶が不足して満杯状態となる前の、2月末から3月前半に積み込まれた貨物も含まれる。
たとえ海峡が完全に開放されたとしても、湾岸を出発した船舶が目的地に到着するまでには数週間を要し、同地域の石油・ガス生産が正常な水準に戻るまでには数か月から数年かかる見通しだ。

Trump Says Iran Is Removing Mines From Hormuz Strait3:35動画:ホルムズ海峡開放に関するブルームバーグテレビジョンの報道
ホルムズ海峡を通じた貨物輸送に関与する複数の関係者は、イランがオマーンに近い従来の航路に機雷を設置したとみられていると指摘し、航行の完全な自由が確保されているわけではないとの見方を示した。トランプ氏はこの日、ソーシャルメディアへの投稿で、これらは撤去されつつあると述べた。
ボルチック国際海運協議会(BIMCO)の安全・セキュリティー責任者ヤコブ・ラーセン氏は、ホルムズ海峡が全面的に開放されているとするトランプ氏の発表は「不正確だ」と指摘した。
ラーセン氏は、機雷の脅威の状況は不明確だとし、「海運会社は同海域を回避することを検討するべきだ」と付け加えた。
原題:Oil Tankers Start to Dash for Hormuz as Shipowners Seek Answers(抜粋)