• WTI原油は4%高で105ドル台、インフレ抑制へ利上げ観測強まる
  • 円は対ドルで5日続落、一時158円80銭台-介入以降の安値更新
S&P500種株価指数は下落
S&P500種株価指数は下落Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

15日の米金融市場で、S&P500種株価指数は下落した。世界的な国債利回り上昇を受けて、株式相場は売りが先行した。原油価格の高止まりが続き、インフレ抑制のため中央銀行が金融引き締めを迫られるとの懸念が強まっている。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は、4%超上げて1バレル=105ドル台で取引を終了。米国債利回りは全年限で上昇した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7408.50-92.74-1.24%
ダウ工業株30種平均49526.17-537.29-1.07%
ナスダック総合指数26225.14-410.08-1.54%

  S&P500種は前日に更新した最高値から1%余り下落。前日には初めて終値ベースで節目の7500を上回っていた。イランでの戦争を受けた安値圏からの急反発をけん引してきたハイテク株を中心に売られた。フィラデルフィア半導体株指数は4%下落した。

  外国為替市場では、円が対ドルで5日続落。一時158円84銭を付け、4月30日の介入以降の安値を更新した。

  イラン戦争の終結が見通せないなか、ホルムズ海峡の事実上の封鎖によってエネルギー供給の混乱が深まり、インフレを加速させるとの見方が強まっている。今週発表された一連の統計では、戦争に起因する物価圧力の高まりが示され、米短期金利先物市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測が強まった。

  トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席との会談で、ホルムズ海峡の再開に向けてイランに圧力をかけるよう要請しなかったと語った。同海峡の通航正常化に向けた打開策は示されなかった。

  ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏は、地政学的な状況の改善があれば短期的には相場の支援材料となるものの、インフレの沈静化にはなお時間を要すると語った。

  エドワード・ジョーンズのアンジェロ・クルカファス氏は、「世界的な債券利回りの上昇が投資家心理を冷やしている」と指摘。背景には、「インフレ懸念や中央銀行による利上げ観測の高まりに加え、各国がエネルギー価格上昇の影響を和らげようとするなかで政府債務への懸念も強まっている」ことがあると述べた。

  RBCキャピタル・マーケッツのロリ・カルバシナ氏は、米10年債利回りが5%に達した場合には、米株への強気見通しは試されることになると、ブルームバーグテレビで述べた。この水準は通常、株価収益率(PER)を押し下げ、「市場参加者を動揺させるようだ」と指摘した

国債

  米国債相場は下落(利回りは上昇)。世界的な国債売りの流れを受けた。イラン戦争がインフレを押し上げ、中央銀行が利上げを余儀なくされるとの見方が強まっている。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り5.12%9.41.86%
米10年債利回り4.60%11.52.56%
米2年債利回り4.08%6.01.49%
米東部時間16時50分

  米国債利回りは全年限で上昇した。特に、インフレ加速の影響を最も受けやすい長期債を中心に利回りは大幅に上がり、30年債利回りは2023年以来の高水準に近づいた。

  米10年債利回りは一時、12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し4.60%を上回った。週間ベースでは、トランプ大統領が大規模な関税計画を発表した2025年4月以来の上昇となった。

  国債の利回りは世界的に上昇。ニューヨーク時間に先立ち、日本や英国では利回りが数十年ぶりの高水準を付けた。日本では30年債利回りが1999年の発行開始以降で初めて4%に達していた。

  北海ブレント原油価格が1バレル=109ドルを超え、上振れの続く米物価指標や終わりの見えないイラン戦争と相まって不安を増幅させ、週末に向かう中で国債の売りが加速した。利上げ見通しは米国のほか、国内企業物価指数が約3年ぶりの高い伸びとなった日本でも、勢いを増している。

  ソシエテ・ジェネラルの調査責任者を務めるスバドラ・ラジャッパ氏はブルームバーグテレビで、「債券利回りは明らかに不安定な動きになっているように感じられる」と述べた。「市場は米連邦準備制度理事会(FRB)だけでなく、議会にも警鐘を鳴らしている。高金利が長引くほど、資金調達コストは上昇する」と語った。

外為

  外国為替市場でドル指数は5日続伸。中東からの原油供給の早期正常化への期待が後退するなか、世界的に債券市場で売りが先行し、ドルは買われた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1202.645.060.42%
ドル/円¥158.75¥0.380.24%
ユーロ/ドル$1.1625-$0.0044-0.38%
米東部時間16時51分

  外国為替市場でここ数週間、円がドルに対して突然急騰した後、すぐに反落する展開が繰り返されており、市場関係者の間では背景を巡り議論が広がっている。14日のニューヨーク市場で円はわずか2分間で0.5%上昇した後、すぐさま上げを失った。12日にも突如として同程度の乱高下が発生したほか、8日は0.2%の上昇後に下落していた。

  マッコーリー・グループのストラテジスト、ガレス・ベリー氏は、財務省が160円を超える円安を不快に感じており、その水準への再接近をけん制したいのではないかと読む。実際に160円に達する前から先制的な揺さぶりや警告とも取れる動きが出ていることが、当局のそうした姿勢を反映しているとの見方を示す。

  ポンドも対ドルで5日続落となった。週ベースでは約2%下落し、2024年11月以来の大幅安となった。先週の地方選での大敗を受け、英国の与党・労働党内でスターマー首相に対する退陣圧力が強まっていることが背景にある。

  主要10通貨(G10)全てが対ドルで下落した。資源国通貨である豪ドルやノルウェー・クローネ、ニュージーランド・ドルの下げが目立った。

原油

  ニューヨーク原油相場は急伸。トランプ米大統領は中国の習近平国家主席と会談したが、ホルムズ海峡の航行正常化については何ら有意な協議をせずに中国を後にした。世界のエネルギー供給混乱がさらに深刻化するとの懸念が再燃した。

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は、トレーダーが注目しているのは「米中首脳会談に何も具体的な内容がなかったことだ。特にイランに実質的な圧力をかけるという点で、何もなかった」と述べた。「いつものことだが、相反する内容の発言が出ている。市場はそれを見極めようとしている」と続けた。

  今週は米中首脳会談に対する失望感だけでなく、紛争に関し懸念を深めるようなニュースが続いた。停戦の維持が危ぶまれる中、トレーダーらは戦闘再開の可能性に神経を尖らせている。ホルムズ海峡近くで船舶が拿捕されたと報じられており、同海峡を通じた輸送量は再び減少している。

  国際エネルギー機関(IEA)は今週発表した最新月報で「世界の原油在庫がすでに記録的なペースで取り崩されている」と指摘。紛争が来月終結したとしても、市場は10月まで「深刻な供給不足」の状態が続くと分析した。

Trump and Xi Begin Second Day of Talks0:41動画:トランプ米大統領は北京で、中国の習近平国家主席と2日目の会談に臨んだ

  BOKファイナンシャル・セキュリティーズのトレーディング担当シニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は「現時点で中国とイランの間に動きは見られず、中国がイランに圧力をかけない限り、米国とイスラエルはイランに対する措置を強化する可能性が高い。そうなれば短期的には原油価格にプラスだ」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比4.25ドル(4.2%)高い1バレル=105.42ドルで終了。北海ブレント先物7月限は3.54ドル(3.35%)上昇の109.26ドルで終えた。

  ニューヨーク金相場は大幅安。イラン戦争に起因するインフレ加速で、世界的に利上げが相次ぎ、経済成長への重しが続くとの観測が広がった。金融市場全般に広がる売りは、金や銅の価格を押し下げた。

  金スポット価格は一時3%下げてオンス当たり4520ドルを下回った。週間では3%余りの下落。中東の石油供給が正常に戻るめどが立たない状況で、世界的に国債利回りが上昇した。ドルは3月以降で最長の上昇局面にあり、ドル建てで取引される商品相場全般を圧迫している。借り入れコストの上昇は景気を冷やし、銅などの金属需要を減退させる。

  ホルムズ海峡の事実上封鎖が続き、世界のエネルギー供給が絞られている。戦争終結に向けた動きは見られず、エネルギー危機は長引き、インフレ懸念は強まる一方となっている。日米両政府が今週発表した物価統計は、いずれもインフレ圧力の強まりを示した。

  ANZグループ・ホールディングスのダニエル・ハインズ、ソニ・クマリ両アナリストは「インフレ期待と利回り上昇、ドル高が目先の金相場を圧迫し続けるだろう」とリポートで述べた。ANZは来年序盤に予想していたオンス6000ドルの達成時期を、2027年中盤に先延ばしした。

  金はイラン戦争初期に急落した後、狭いレンジで推移している。紛争が長期化する中で、投資家がインフレリスクと成長減速懸念の間で揺れ動いているためだ。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時14分現在、前日比90.76ドル(2%)下げて1オンス=4561.22ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、123.40ドル(2.6%)安の4561.90ドルで終えた。

欧州

  15日の欧州債券市場は、原油価格の急騰がインフレ懸念を強めたことを受け、下落した。英国では政治危機により超長期債の利回りが約30年ぶりの高水準に達するなど、英国債は他の国債に比べてパフォーマンスが劣った。

  ドイツ10年債の利回りは最大12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.16%となり、2011年以来の高水準だった。ドイツ、フランス、英国などの債券市場は、2月下旬にイランとの戦争が始まって以来、週ベースで最も低い水準となっている。

  英国では、スターマー英首相の後任として、より拡張的な財政政策を好むとされるマンチェスター市長のアンディ・バーナム氏が有力候補として浮上している。政治リスクに最も敏感な英30年債利回りは、20bp急騰して5.86%と、1998年以来の高水準となった。

  長期債の利回りが短期債よりも大きく上昇したため、英国債のイールドカーブはベア・スティープニング化した。

  世界的な債券売りの加速を受け、リスク選好の勢いが失速したため、欧州株も大きく下落した。ストックス600指数は1.5%安で取引を終え、3月以来の下落幅となった。

  銀行、公益事業、不動産など金利に敏感なセクターは広範囲にわたり軟調となり、金から銅に至るまでの金属価格の下落を受け、これまで好調だった鉱業株も下落した。エネルギー株のほか、投資家がディフェンシブ銘柄を好んだことから、ヘルスケアや生活必需品セクターも市場平均を上回るパフォーマンスだった。

5月15日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

終値前営業日比変化率
ストックス欧州株600606.92-9.13-1.48%
英FT10010,195.37-177.56-1.71%
独DAX23,950.57-505.69-2.07%
仏CAC407,952.55-129.72-1.60%
債券直近利回り前営業日比
独国債2年物2.74%+0.09
独国債10年物3.17%+0.12
英国債10年物5.17%+0.18

原題:Stocks Fall as Inflation Jitters Lift Bond Yields: Markets Wrap(抜粋)

Dollar Eyes Best Week Since Early March; Yen Slumps: Inside G-10

Curious Yen Spikes Have Traders Gaming Japan ‘Warning Shots’ (1)

Oil Rises as Trump Departs China With Limited Progress on Hormuz

Metals From Copper to Gold Slump as Inflation Fears Roil Markets

European Bonds Fall as Inflation Angst Builds: End-of-Day Curves

European Stocks Decline Most Since Late March as Yields Rise