- トランプ氏、「イランにとって時間切れが近づいている」-SNS投稿
- 米国が和平合意に向けて5つの主要条件提示-イランのファルス通信

Arsalan Shahla、Salma El Wardany
数週間に及ぶ戦争終結とホルムズ海峡の再開に向けた合意を巡り、17日時点でも米国とイランの隔たりはなお大きい。アラブ首長国連邦(UAE)の原子力発電所でドローン攻撃により火災が発生し、脆弱(ぜいじゃく)な停戦の危うさが改めて浮き彫りとなった。
トランプ米大統領は17日、「イランにとって時間切れが近づいている。早急に動かなければ、イランには何も残らなくなる。時間が極めて重要だ」とSNSに投稿し、自身の忍耐が限界に近づいていることを鮮明にした。
イランのファルス通信は、米国が和平合意に向けて5つの主要条件を提示したと報じた。条件には、イランの核開発計画で使用されるウランの米国への移送、米国が補償金を支払わないこと、イランの凍結資産の25%未満の解除などが含まれるという。ファルス通信は情報源を明らかにしておらず、米国もこうした条件について公にはコメントしていない。
一方、イランの政府系メヘル通信は、米国が「具体的な譲歩を何ら示していない」とした上で、「戦争で得られなかった譲歩を交渉で得ようとしており、それが交渉の行き詰まりにつながる」と報じた。
トランプ氏は15日、イランの同盟国である中国の習近平国家主席との2日間の首脳会談を終えて北京から帰国。両首脳は、かつて世界の原油と液化天然ガス(LNG)の2割が通過したホルムズ海峡について、航行再開が必要との認識では一致したものの、その実現に向けた具体的進展は見られなかった。
ニュースサイトのアクシオスによると、トランプ氏は16日、バンス副大統領、ウィトコフ特使、ルビオ国務長官、ラトクリフ中央情報局(CIA)長官とイラン情勢について協議した。19日も国家安全保障チームと再び会合を開く見通しだ。
トランプ氏はアクシオスに対し、「われわれは合意を望んでいる」と述べ、イラン側から最新の提案を待っていると説明した。その上で、「彼らはまだわれわれの望む地点に達していない。そこに到達しなければ、激しい攻撃を受けることになる。それは彼らも望んでいない」と語った。
4月8日の停戦開始以降、トランプ氏は2月28日に始まった空爆を再開する可能性を繰り返し示唆している。
ドローン攻撃
アブダビ政府のメディアオフィスによると、火災はUAEのバラカ原子力発電所の境界外側にある発電機で発生したが、放射線安全性への影響はなかった。当局は消火活動を進めており、負傷者は報告されていないという。
UAE国防省は、原発を攻撃したドローンはUAEの西方から発射された3機のうちの1機で、残る2機は迎撃されたとSNSで明らかにした。UAEは攻撃した勢力の特定を進めている。西側でUAEと国境を接するサウジアラビアは、攻撃を非難した。
イランによるペルシャ湾での船舶への威嚇は、この地域からのエネルギー輸出をほぼ停止状態に追い込み、世界のエネルギー価格を急騰させるとともに、対米協議でイラン政府に大きな交渉力を与えている。
2月28日に始まった米国・イスラエルによる対イラン戦争では、主にイラン国内で数千人が死亡した。イランによる報復攻撃はUAEを含む湾岸地域の米同盟国を標的としており、UAEもこれに対し、断続的にイランへの攻撃を実施していると、ブルームバーグは報じている。
エルサレムでは、イスラエルのネタニヤフ首相が閣議でイラン危機について説明。17日中にトランプ大統領と電話会談し、中国訪問について説明を受ける予定だと述べた。イスラエル安全保障閣議のメンバー、ゼブ・エルキン氏は、トランプ大統領が決断すれば、イスラエルは対イラン攻撃を再開する構えだと語った。
エルキン氏はイスラエル公共放送協会(KAN)で「もちろん、われわれには攻撃対象がある」と発言。「現在のように米国による封鎖が続く状況は、イスラエルにとっても好都合だ。イラン経済に日々大きな打撃を与えているからだ」と述べた。
イランのペゼシュキアン大統領は、紛争の外交的解決に取り組む姿勢を示している。ここ数週間では複数のエネルギー輸送船がホルムズ海峡を通過しており、イラン当局者は今週末、一部船舶の航行を認める正式な法律や枠組みの整備を進めていると述べた。
世界2大経済国である米国と中国は、立場の違いを抱えながらも、トランプ大統領と習近平国家主席の会談で、中東紛争を巡る一致点を強調しようとしていた。

トランプ大統領は中国からの帰路、イラン産原油を購入する中国石油会社への制裁解除の可能性について、習近平主席と協議したことを記者団に明らかにした。米財務省は、イランとの協議で同国への圧力を強めるため、ここ数週間で制裁を強化している。一方、中国政府は国内企業に対し、制裁を無視するよう指示している。
トランプ大統領は、大統領専用機「エアフォースワン」内で記者団から制裁解除を検討するか問われ、「今後数日以内に判断するつもりだ」と述べ、「その件について協議した」と語った。
トランプ大統領はFOXニュースのインタビューで、今週ホルムズ海峡を通過した中国のタンカー3隻がイラン産原油を積載していたのは、米国が容認したためだと説明した。これに先立ち、イラン国営テレビは革命防衛隊海軍当局者の話として、13日夜以降、30隻超の船舶にホルムズ海峡の通航を認めたと報じていた。
ホワイトハウスは難しい対応を迫られている。11月の中間選挙を前に、ホルムズ海峡を再開し、世界のエネルギー価格を引き下げるとともに、国民の支持が低下している紛争をどのように縮小させるかが課題となっている。
北海ブレント原油先物は戦争開始以降、約50%上昇した。トランプ大統領の中国訪問でもホルムズ海峡再開計画に具体的な進展が見られなかったため、市場では米国とイランの軍事衝突が再び激化するとの懸念が強まっている。
パキスタンのナクビ内相は16日にテヘラン入りし、イラン側のカウンターパートと会談した。準国営タスニム通信によると、両者は2国間関係に加え、パキスタンが主な仲介役を担ってきた米国とイランの和平交渉再開の可能性について協議した。
昨年6月の米国とイスラエルによる爆撃以降、所在不明となっているイランの高濃縮ウランは、和平合意に向けた多くの障害の一つとなり続けている。
イスラエルのエルキン氏は、この高濃縮ウランについて「その気になれば確実に見つけ出せる」と述べ、回収は不可能ではないとの認識を示した。
原題:US, Iran Far From Hormuz Deal as Trump Says Clock Ticking (1)、US and Iran Far From Hormuz Deal as Drone Hits UAE Power Plant(抜粋)