世界気象機関(WMO)が発表した最新の気候予測について、要点をわかりやすくピックアップしてまとめました。国連の専門機関であるWMOが、英国気象庁(Met Office)など世界13の機関のデータをまとめて公表した極めて重要な報告書です。


📌 WMO発表:今後5年間(2026〜2030年)の気候予測の要点

1. 86%の確率で「観測史上最も暑い年」が到来

  • 2024年の記録を更新する可能性: 2026年から2030年までの5年間のうち、少なくとも1年は、これまでの最高記録だった2024年を上回る「史上最も暑い年」になる確率が86%に達しています。
  • 原因はエルニーニョの再来予測: 2026年の年末にかけて再びエルニーニョ現象が発生すると予測されており、その影響が本格化する2027年が新たな記録更新の筆頭候補とされています。

2. パリ協定の目安「1.5℃上昇」を一時的に超える確率は91%

  • 産業革命前比での気温上昇: 今後5年間の年間平均気温は、産業革命前と比べて1.3℃〜1.9℃上回る水準で推移すると予測されています。
  • 1.5℃の壁: 少なくとも1年は「1.5℃上昇」のラインを一時的に超える確率が91%。さらに、5年間の「平均」としても1.5℃を超える確率が75%となっています。

💡 補足(パリ協定との関係) パリ協定で掲げられている「1.5℃」の目標は長期(通常20年間)の平均値に基づいているため、特定の単年が一時的に1.5℃を超えたからといって直ちに「パリ協定が失敗した」というわけではありません。しかし、危険な水準に限りなく近づいている強い警告となります。

3. 地域ごとの顕著な気候変化

  • 北極圏の深刻な温暖化: 北極圏では、冬の気温が1991〜2020年の平均を2.8℃も上回ると予測されており、世界平均よりもはるかに速いペースで温暖化が進んでいます。バレンツ海やオホーツク海などでの海氷のさらなる減少が懸念されています。
  • 降水パターンの変化(異常気象の恐れ): * 降雨が増える(大雨の懸念): 北半球の高緯度地域(北欧、アラスカ、シベリアなど)やアフリカのサヘル地域では、夏に平年以上の降雨が予測されています。
    • 乾燥が進む(干ばつの懸念): アマゾンなどでは乾燥化が進む傾向がみられます。

この報告書は、すでに世界各地で頻発している熱波や異常気象、それに伴う食糧危機や生活コストの上昇が、今後数年間でさらに深刻化するリスクを示しています。

※WMO=世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)