Humeyra Pamuk, Jana Choukeir, Ahmed Tolba, Steve Holland

[チューリヒ/ドバイ/ワシントン 20日 ロイター] – イラン国営メディアによると、米国との最終合意に向けた協議に向け、イランの高官協議団が20日、スイスに到着した。バンス米副大統領も日本時間21日朝にスイスに向けて出発した。パキスタン政府は、協議は21日に始まると発表した。一方、イランのイスラム革命防衛隊は、イスラエルのレバノン攻撃に反発しホルムズ海峡の再封鎖を宣言した。
パキスタン外務省は20日、最終合意に向けた米とイランの協議が21日からスイス中部ビュルゲンシュトックで開催されると明らかにした。パキスタンとカタールの仲介団が参加するとした。
イランのメディアによると、代表団は首席交渉官のガリバフ国会議長、アラグチ外相のほか、安全保障、中央銀行、石油部門の政府高官で構成。イラン外務省のバガイ報道官は、米国が過去に合意を守らなかったことを挙げ、スイスでの協議で合意事項の履行を強く求めると述べた。
バンス氏は米東部時間20日午後4時(日本時間21日午前6時)すぎにワシントン郊外のアンドルーズ統合基地からスイスへ向け出発した。搭乗前に「数日間の協議」を行う見通しだと記者団に語った。これに先立つFOXニュースとのインタビューで、既に現地しているウィットコフ中東担当特使とトランプ氏の娘婿のクシュナー氏の話で事前の調整が順調に進んでいるとの認識を示した。覚書で定めた停戦は維持されると確信しており、海峡が封鎖された証拠は見ていないとも述べた。
<ホルムズ海峡「再封鎖」、米が合意違反とイラン革命防衛隊>
17日に正式署名された暫定合意の覚書では、米国がイラン周辺の海上封鎖を解除し、イランはホルムズ海峡の商船の安全かつ無償の航行を60日間確保するとしていたが、イランのイスラム革命防衛隊は20日、レバノンでのイスラエルの「犯罪」と、米国による停戦合意の違反を理由に、海峡の封鎖を宣言し、接近する船舶は危険にさらされると警告した。
イランのモフベル最高指導者顧問はXで、レバノンを含む「全ての戦線」での停戦という覚書の第1項を米国が履行していないと非難。合意が紙切れにすぎない限り、中東のエネルギー供給が停止した状態が続くと述べた。
一方、米中央軍は、20日に商船55隻が海峡を通過し、大量の貨物や1700万バレル以上の石油が輸送されたと発表。米軍は船舶の航行継続を確保すると表明した。
トランプ米大統領は20日、ホルムズ海峡の通航料は、協議が決裂して米国が課さない限り、60日間の停戦期間およびその後も徴収されないと自身のSNS(交流サイト)に投稿。最終合意が成立しない場合、「中東諸国の守護天使として提供したサービス」の対価として、米国が通航料をとる可能性を示唆した。
<レバノン攻撃続く>
レバノンでは、19日の停戦発効後もイスラエルによる親イラン民兵組織ヒズボラを標的とする攻撃が継続、レバノンの発表によると20人が死亡した。
レバノン国営通信社NNAによると、イスラエル軍は20日、ヒズボラの拠点があるレバノン南部とベカア高原を攻撃した。イスラエルはヒズボラの攻撃に応戦していると主張。ヒズボラはイスラエルにレバノンでの「行動の自由」を許さないと表明した。
イスラエルは、米国とイランの合意の当事者ではないとし、レバノンでイスラエル軍が制圧した地域で軍を駐留させ続けるとしている。イスラエルのチャンネル12テレビは、首相と国防相が軍に対しレバノンでの攻撃停止を指示したものの、軍は制圧地域から撤退しないと報じた。
イスラエル軍当局者は、ヒズボラが夜間にレバノン南部のイスラエル部隊に向けて50発以上の飛翔体を発射したため、ヒズボラの標的を攻撃したと説明した。軍は、イスラエルは停戦を順守しており、イスラエルやその部隊に対するいかなる脅威に対しても引き続き行動すると声明で表明した。
レバノン保健省によると、交戦が再開した3月2日以降のイスラエルの攻撃で、医療従事者、女性、子どもを含む4057人が死亡。イスラエル当局によると、ヒズボラとの戦闘で少なくとも兵士32人と民間人4人が死亡している。