Parisa Hafezi, Steve Holland, Phil Stewart, Yomna Ehab

[ドバイ/ワシントン 12日 ロイター] – 米国とイランは12日、ミサイルと無人機(ドローン)による激しい攻撃の応酬を繰り広げた。イランはホルムズ海峡を再び封鎖したと表明、湾岸諸国にある米施設に対する攻撃を実施した。
米国とイランはここ数日にわたって互いへの攻撃を続けており、トランプ米大統領は、停戦は「終わった」と宣言。ただ、交渉継続の道は残している。
今回の緊張激化は、ホルムズ海峡で複数の商船が攻撃を受けたことが発端だ。イラン側は、「許可されていない航路」を航行中の船舶に警告射撃を行った後、海峡を封鎖したと発表。12日には2隻目の船舶も航行不能にしたとしている。
イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、「この地域への米国の介入が終わるまで」ホルムズ海峡を封鎖すると表明。一方、米中央軍は商船が海峡の通航を続けていると説明している。
革命防衛隊海軍は声明を出し、「船舶自動識別装置を切って海上の安全を脅かした船舶1隻を攻撃し、航行不能にした」と説明した。船舶の詳細は明らかにしなかった。複数の船舶が「許可されていない航路」を通ろうとし、進路修正の警告にも従わなかったとも指摘した。
その上で「追って通知があるまで」また「この地域への米国の介入が終わるまで」ホルムズ海峡を封鎖すると表明。「イランに対する侵略行為には厳しく対応し、この地域の新たな敵の拠点も攻撃対象とする」と警告した。
米軍は12日、ホルムズ海峡を航行中だったキプロス船籍のコンテナ船を革命防衛隊が攻撃したことを受け、イランを空爆したと発表した。
米中央軍によると、空爆は米東部時間11日午後7時15分(2315GMT、日本時間12日午前8時15分)に開始された。イラン側の声明発表から約1時間後に当たる。
革命防衛隊が攻撃したとされる船舶について、米中央軍はキプロス船籍のコンテナ船「GFSギャラクシー」と特定。交流サイト(SNS)への投稿で、「民間人の乗組員1人が行方不明となっており、船内火災と機関室の重大な損傷により、同船は航行を継続できない状況だ」とした。
インド外務省は12日、GFSギャラクシーが同日攻撃を受け、インド人乗員11人のうち1人が行方不明になっていると発表した。
<イラン、攻撃のペースと標的を拡大>
米中央軍は、今週3夜にわたる空爆で計300以上の標的を攻撃し、11日は「海峡を自由に航行する民間の船員や商船を攻撃するイランの能力を低下させるため」に140カ所のイラン軍事施設を標的にしたと説明した。
イラン国営メディアは、複数の港湾都市で爆発があったと報じた。
これを受け革命防衛隊は、米国の同盟国ヨルダンで指揮統制センターとドローンの格納庫を破壊したと表明。クウェートにある米レーダー施設を攻撃し、オマーンでは米空母の支援・給油拠点を狙い、カタールでは戦闘機の整備施設と指揮系統施設を破壊したとしている。
カタール政府によると、子ども1人を含む3人が攻撃の破片で負傷した。
アラブ首長国連邦(UAE)は、イランからのミサイルと無人機に対して防空システムで対応していると発表。バーレーンでは警報のサイレンが鳴り、ドーハでは爆発音が聞かれた。
イランは船舶攻撃を巡る報復には「厳しい対応」で臨むと警告しており、イランの攻撃は実際、ペースと標的の両面で拡大している。
イランはここ数週間、クウェートとバーレーンを攻撃する一方で、4月上旬以降はカタールへの攻撃を、5月上旬以降はUAEへの攻撃を控えていた。
イランは今回、米イラン間の停戦仲介の中核を担ってきたカタールを攻撃したことになる。カタールはこれまで、攻撃を受けている間は仲介役を務めないとの立場を示してきた。
戦争は湾岸地域を不安定化させ、イランによる海峡封鎖はエネルギー価格を押し上げ、世界的なインフレ高進につながっている。ガソリンなどの物価上昇は、11月に中間選挙を控えるトランプ氏にとって頭痛の種だ。
<「約束を守れ、さもなくば代償を払え」>
イランのアラグチ外相は米国が停戦合意に違反していると非難。10日にXで「相互の順守しかありえない」と投稿した。
イランのカリバフ国会議長は12日、Xに「一方的な取引の時代は終わった。約束を守れ、さもなくば代償を払えということだ」と投稿した。
米国は7日、カタールとサウジアラビアの商業タンカーが週初めに攻撃を受けたことを受け、イラン産原油の販売を認めていたライセンスを取り消し、米イラン間の攻撃の応酬に発展した。
アラグチ外相はオマーンのバドル外相と会談し、イラン外務省によると「ホルムズ海峡の安全な航行を確保するための適切な仕組み」について意見交換した。オマーン国営通信は、「実務レベルおよび政治レベル」で協議を継続すると伝えた。
複数の米政府高官によると、米国はイランに対し、ホルムズ海峡での船舶攻撃を停止することや、海峡内の全ての航路を通航料なしで開放することを公に表明するよう求めている。
<イラン、前最高指導者殺害の報復を警告>
イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師は11日に書面による声明で、「殉教した指導者と全ての殉教者の血の復讐を誓う」と述べ、前の最高指導者で自身の父親でもあるアリ・ハメネイ師殺害を受けた報復を示唆した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やその他の米メディアは今週、イランが最近トランプ氏を暗殺する計画を立案したとする情報をイスラエルが米政府と共有したと報じた。
トランプ氏は10日、イランが自身の暗殺を試みた場合、イランに向けて数千発のミサイルを発射する準備を整えるよう米軍に命じたと投稿した。
モジタバ師は戦闘勃発以降、公の場に姿を見せていない。