衆院比例定数の削減問題で自民、維新、国民民主は3党合意をまとめたが、これは抜本改革ではなく、暫定改革だと前回(上)触れた。3党合意には「比例代表の中国、四国両ブロックの統合」、複数の政党が比例代表の候補者名簿を一本化できる「統一名簿方式」の導入など、抜本改革を意識した項目も結構盛り込まれいる。
公明党の中野洋昌政務調査会長は以下のような発言をした。新制度で実施する次期衆院選に向けて抜本改革を行うとした与野党合意(9月30日)に触れ、「これから抜本改革を議論しようとしている時に、比例のみ削減といった乱暴な議論はあってはならない」(6日、反対集会で)と。
要するに3党合意は「抜本改革の要素を一部含んでいるが、抜本改革ではない」と言っているのだ。これは定数削減に反対する野党に共通する認識でもある。では抜本改革は1年でまとまるのか。おそらく1年以内に実現することはないだろう。国会議員の大半はそう考えているはすだ。
でも抜本改革が必要だと反対派は主張する。野党が政権をとって現在の与党が野党になった時、その時には自民党も維新もおそらく同じことを言うだろう。できないことを言う。そのテーマが真っ当であればあるほど主張する。ここに国会が堂々巡りする大きな原因がある。
憲法改正にも皇族改革にも、社会保障改革や国会改革にも、まったく同じ問題がつきまとっている。かくして憲法改正も選挙制度改革も一歩も前進しない。自民党も維新も、国民民主も国会の現状を深く理解している。
抜本改革が必要なことはよくわかっている。だが、それはいつまでたっても実現しない。だから今回の定数削減では、抜本改革の要素を一部取り入れながら暫定改革で合意した。そのために3党とも譲るべきところは譲る。抜本改革に踏み込まなくなった国会のこれが現状なのだ。
ではどうしてこんなことになったのか。原因は複雑で多様な気がする。
①政権交代を可能にする2大政党制を目指した小選挙区制度が多党化を招いた
②多党化によって政党間の議論が分散化し収斂しなくなった
③抜本改革を主導する政治家がいなくなった
④机上の空論(抜本改革)より、実現可能な弥縫策を選択する傾向が強まった
⑤政党は長期ビジョンより目先の利益を優先する
まだ、あるかもしれない。民族の中長期的な壮大なビジョンより、目先的な党利党略が優先されるようになったのだ。例えば、どうして女性天皇の可能性を真面目に議論しないのだろうか。男系男子は未来永劫、象徴天皇の後継者をめぐる絶対的要件なのか。象徴天皇制度の抜本改革を言い出す政治家はまったくいない。
憲法改正で全面的な改正を求める意見はほとんどない。国会改革は遅々として進まない。教育改革も社会保障改革も、実現するのはいつも弥縫策にとどまっている。弥縫策をいくら積み上げても日本は変わらない。
高市政権の誕生で財政改革は一挙に進展する気配を見せている。だが改革すべきはP B改革や補正予算だけではない。特別会計を含めた予算の抜本改革は話題にすらならない。財源は常に議論になるが、膨大な金融資産をどうやって財源に取り込むか、まったく議論にならない。
抜本改革ができなくなった日本。それを象徴するのが「失われた30年」だろう。何もしないうちに、日本の国力は他国にどんどん抜かれてしまった。一人当たりGDPは今やOECD加盟38カ国中第24位まで落ちている。
あれやこれや、抜本改革ができなくなった国会、その国会がいまの日本凋落ももたらしたと断言するのは、言い過ぎだろうか・・・。