電気自動車を普及させる世界的な「EVシフト」に対応するため、経済産業省は、電気自動車などの次世代自動車について、初めてとなる総合的な政策づくりに向け、「日本版EV戦略」を策定する方針を固めました。

「EVシフト」を巡っては、世界最大の自動車市場の中国のほか、イギリス、フランスが政策を相次いで打ち出すなど世界的に動きが加速していますが、日本は政策面での立ち遅れも指摘されています。

こうした中、経済産業省は、電気自動車などの次世代自動車について、初めてとなる総合的な政策づくりに向け、「日本版EV戦略」をこの夏をめどに策定する方針を固めました。関係者によりますと、世耕経済産業大臣が、4月、学識経験者や大手自動車メーカーの幹部などからなる会議を設置し、官民で戦略の検討に入るということです。

会議では、価格や走行距離、充電時間など、電気自動車を普及させるうえでの課題への対策のほか、充電設備をはじめとするインフラ整備など、幅広い論点を議論することにしています。さらに、電気自動車などの電池の材料になる鉱物資源の獲得競争も今後、激しさを増すとして、資源外交の強化も検討します。

経済産業省は戦略に沿って、電気自動車のほか、日本企業が強みを持つプラグインハイブリッド車や燃料電池車などを含めた次世代自動車についての総合的な政策づくりを進め、世界的なEVシフトへの政策面の対応を強化することにしています。

世界で進む「EVシフト」

世界的には電気自動車の普及を進める「EVシフト」の政策が相次いで打ち出されています。ヨーロッパでは、地球温暖化対策の「パリ協定」を推進するフランスが去年7月、2040年までに温室効果ガスを排出するガソリン車などの販売を終了する目標を示したほか、イギリスも2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する目標を打ち出しました。

アジアでも、世界最大の自動車市場となった中国が来年から、EVやプラグインハイブリッド車などを一定の比率で生産するよう求めるいわゆるNEV規制を導入する方針を示しています。また、インドも去年、2030年までに販売されるすべての自動車をEVにする目標を発表しています。