トランプ米大統領(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(AFP=時事)

【ワシントン時事】韓国大統領の特使として訪朝した鄭義溶国家安保室長は8日、ホワイトハウスで記者会見し、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の招請を受け入れ、5月までに米朝首脳会談に応じる意向を示したと明らかにした。鄭氏によると、金委員長は非核化に応じ、核・ミサイル実験を凍結する意思を明らかにしたほか、米韓合同軍事演習の継続にも理解を示した。

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 サンダース大統領報道官も声明で、トランプ氏の招請受諾を発表。会談場所や日時は決まっていないという。報道官は「すべての制裁と『最大限の圧力』は継続しなければならない」と強調した。実現すれば初の米朝首脳会談となる。鄭氏はこれに先立ち、トランプ氏やマクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)らと会談し、訪朝時の金委員長との会談結果を説明した。

米国は、北朝鮮が非核化を実現する意思を示さなければ交渉には応じない方針を示してきた。金委員長が非核化に応じることを明確にしたことで、トランプ氏は米朝交渉受け入れを決めたもようだ。一方、米政権内では「過去の取り組みは全て失敗に終わり、北朝鮮に核・ミサイル開発を進める猶予を与えただけだった」(アシュレー国防情報局長官)として、北朝鮮との交渉を警戒する見方も根強い。ティラーソン国務長官は8日、訪問先のアディスアベバで、北朝鮮の融和姿勢に「前向きな兆候の可能性がある」と評価したものの、米朝交渉開始までは「遠い」と慎重な構えを崩さなかった。

 ◇韓国国家安保室長の会見骨子

 一、金正恩氏、非核化に応じる意向
一、金氏、トランプ氏との早期会談を要望
一、トランプ氏、5月までに米朝首脳会談実施を表明
一、北朝鮮、今後の核・ミサイル実験凍結
一、金氏、米韓合同軍事演習の継続に理解
一、北朝鮮への圧力は継続
一、平和裏の外交的解決を楽観。