15日は与野党の参院国対委員長らが今後の国会日程などを協議するため、本格的な審議再開は16日以降になる。参院の予算委員会で集中審議を行ったうえで、来週にも佐川氏を国会に招致する方向だ。
自民党の二階俊博幹事長と立憲民主党の福山哲郎幹事長は14日午後、電話で約20分間協議した。福山氏によると、二階氏は「委員会審議を経て必要があれば(佐川氏招致を)検討したい」と述べ、野党が審議に復帰すれば招致に応じるとの考えを伝達。福山氏が「証人喚問という認識でいいか」と確認すると、二階氏は検討する考えを示した。これを受けて、立憲、希望、民進、共産、自由、社民の野党6党の幹事長・書記局長が国会内で対応を協議した。衆参両院で安倍晋三首相が出席する予算委員会の集中審議と佐川氏の証人喚問を行うよう求めることで一致した。
参考人招致とは異なり、証人喚問は、議院証言法に基づき偽証罪に問われる可能性がある。政府・自民党は証人喚問に慎重な姿勢だったが、文書改ざん問題への国民の批判が強いことから、受け入れざるを得ないとの声が与党内に広がっている。自民党国対幹部は「与野党の現場が協議して、必要ならば従う」と述べ、証人喚問の受け入れを示唆した。一方、自民、公明両党の幹部の会合では、「文書改ざんとは直接関係がない」として首相の妻昭恵氏の国会招致には応じない方針を確認した。
民進など多くの野党が欠席する中で参院予算委員会は14日、集中審議を行った。首相は、「私から文書の書き換えを指示したことは全くない」と自らの関与を明確に否定した。麻生太郎副総理兼財務相も、改ざんについて「国会対応を行う関係上、財務省理財局において行った」と述べ、自身の関与はなかったと強調した。財務省が改ざんした理由について麻生氏は「佐川氏の答弁が誤解を受けることのないようにするためぐらいしか考えられない」と語った。【村尾哲、真野敏幸】