評論家の西部邁(にしべすすむ)さんが今年1月に東京都大田区の多摩川で亡くなった経緯に不自然な点があるとして、警視庁が捜査していることが捜査関係者への取材でわかった。西部さんは生前、周囲に自殺をほのめかしていたというが、警視庁は現場の状況などから第三者が関与した疑いもあるとみて、自殺幇助(ほうじょ)容疑などを視野に調べている。
捜査関係者によると、1月21日午前6時40分ごろ、西部さんの長男から、大田区田園調布5丁目の多摩川に父親が入ったと110番通報があった。西部さんは救助されたが、約2時間後に死亡が確認された。死因は水死の疑いで、遺体に外傷はなかった。河川敷には遺書があったという。
救助された際、西部さんは腰付近にロープを巻き、工事現場の作業員が使用する安全帯のようなものを身に着けていた。ロープの一方は木に結ばれていたという。西部さんは当時、病気の影響で手が不自由だったことなどから、警視庁は西部さんがこれらを1人で行った可能性は低いとみて、関係者から事情を聴くなどしている。