時機を同じくして23日に発効した米国の新たな鉄鋼関税は、例外扱いを求めてきた日本も対象となった。カナダやメキシコ、韓国、欧州連合(EU)など当面、適用の除外となった米国の主要貿易相手とは明暗を分ける形となった。
日本は、米国との緊密な同盟関係を理由に「日本からの輸入が米国の安全保障に悪影響を与えることはない」と米側の説得を続けてきた。3月に入ると、世耕弘成経済産業相がライトハイザー氏と会談。河野太郎外相や河井克行自民党総裁外交特別補佐らも米国の政府高官や政治家と接触を重ねた。
だが、穏健な態度を貫いてきた日本は、結果的にはしごを外された形だ。米国が課税方針を表明した直後に対抗措置の検討を強調してきたEUとは対照的だ。通商筋の一人は「日本は弱腰になり過ぎた。除外されるだろうという甘さもあった」と打ち明ける。
日本は引き続き、適用除外を求めていく方針だ。4月中旬には、安倍晋三首相の訪米と日米首脳会談が予定されており、外務省幹部は「問題が長引けば首脳同士でも話し合うことになる」と話す。ただ、それは米国の離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を優先させる日本が避けてきた、日米自由貿易協定(FTA)の二国間交渉に引きずり込まれる懸念も含んでいる。
トランプ氏は22日、「安倍首相らと協議をする。すばらしい人で、私の友人だ」と持ち上げながら、「(米国を利用してきた)彼らは笑みを浮かべている。そういう日々は終わる」と警告した。首脳同士の蜜月ぶりで知られた日米だが、こだわりの貿易赤字削減に向け、トランプ氏が日本にも圧力を強めるおそれがある。(伊藤舞虹)