[ワシントン 28日 ロイター] – 米商務省が28日発表した2017年第4・四半期の国内総生産(GDP)確報値は、年率換算で前期比2.9%増と、改定値の2.5%増から上方改定された。市場予想は2.7%増だった。個人消費と在庫投資が上方改定されたことを反映した。個人消費は3年ぶりの大幅な伸びを記録した第3・四半期の成長率は3.2%だった。

18年第1・四半期は経済成長が鈍化した兆しがある。2月の小売売上高は3カ月連続で落ち込んだ。住宅市場の統計も総じて軟調なほか、貿易赤字は1月に9年超ぶりの高水準をつけた。第1・四半期GDPの予想は現時点で2.0%増をやや下回っている。それでもなお、1兆5000億ドル規模の減税政策や計画中の財政出動を背景に、米経済はトランプ政権の年率の成長率目標である3%増を今年達成するとアナリストらはみる。こうしたことを踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)は今年、利上げペースを現在の見通しよりも速くする可能性がある。FRBは21日に金利を引き上げ、年内に最低あと2回利上げする見通しを示した。また、18年と19年の経済成長見通しを引き上げた。

オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「減税や政府の財政出動拡大に伴い、今年のGDPは平均で2.9%に達するとみられる。こうした状況を踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は今年、年4回の利上げを行うと予想される」と述べた。17年通年のGDPは2.3%増と、16年の1.5%増から加速した。

第4・四半期の税引き後企業利益は1.7%増。前期は5.7%増だった。労働省当局者によると、1月に発効した税制改革は第4・四半期の企業収益(在庫品評価調整・資本減耗調整済)には影響していない一方、ネット・キャッシュフローは左右した。所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は、0.9%増となった。前期は2.4%増だった。経済成長をみる上でより良い手法とされるGDPとGDIの平均は1.9%増だった。前期は2.8%増。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は4.0%増と、改定値の3.8%増から上方改定された。14年第4・四半期以来の大幅な伸びとなった。第3・四半期は2.2%増だった。輸入は14.1%増で、改定値の14.0%増から改定。10年第3・四半期以来の大幅な伸びだった。ドル安を背景に輸出も増えたが、輸入の増加ペースがそれを上回った。結果として貿易赤字はGDPを1.16%ポイント押し下げた。押し下げ幅は1年ぶりの大きさだった。第3・四半期は0.36%ポイント押し上げる方向に働いていた。貿易は18年第1・四半期もGDPの押し下げ要因となるとみられる。貿易赤字は1月に大幅に拡大した。この日に商務省が別途発表した2月のモノの貿易赤字は小幅に増加した。

第4・四半期は個人消費が底堅かったことから在庫の積み上げが減ったが、在庫投資は156億ドル増と、改定値の80億ドル増から上方改定された。在庫のGDPの寄与度はマイナス0.53%ポイント。前期はプラス0.79%ポイントだった。在庫は第1・四半期にGDPを押し上げる方向に働くかもしれない。商務省が発表した2月の卸売・小売り在庫は底堅く伸びた。

機器投資は11.6%増と、改定値の11.8%増からやや下方改定された。それでも尚、14年第3・四半期以来の大幅な伸びだった。住宅建設投資は12.8%増と、改定値の13.0%増からやや下方改定された。前期までは2期連続で落ち込んでいた。前期は住宅販売が軟調だったことが影響したとみられる。政府支出は3.0%増。改定値の2.9%増から上方改定された。15年第2・四半期以来の大幅な伸びだった。