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全面的な貿易戦争突入の懸念広がり米株価指数先物は下落
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USTR代表:いずれの関税も直ちに発効することはない
トランプ米大統領は5日、米通商代表部(USTR)に新たに中国からの輸入品1000億ドル(約10兆7000億円)を対象とした追加関税を検討するよう指示したことを明らかにした。これを受け、米中両国が全面的な貿易戦争へと突入するのではないかとの懸念が広がり、米株価指数先物は下落した。
米中の通商当局者らは摩擦を沈静化させ、対立のエスカレート回避に向け合意を取りまとめようと努めていたが、今回の大統領の行動がこうした取り組みを白紙に戻す可能性がある。トランプ大統領の追加関税検討指示を受け、S&P500種株価指数先物は一時1.6%下げた。同株価指数の5日終値は0.7%高だった。
中国は4日、米国からの輸入品約500億ドル相当に25%の追加関税を課す計画を発表した。対象には大豆や自動車、化学品、航空機などが含まれる。米政権は前日、中国製品500億ドル相当に知財制裁関税を課す計画を明らかにしていた。
ライトハイザーUSTR代表は5日夜の大統領声明後すぐに、こうした関税はいずれも直ちに発効することはないと述べた。クドロー国家経済会議(NEC)委員長ら政府当局者はこの2日間、貿易戦争懸念の解消に努めてきた。しかしトランプ大統領は5日、今こそ中国が米国を「利用」するのをストップさせる時だと発言し、強硬策を示唆した。
トランプ大統領はウェストバージニア州のイベントで、「自分を適切に扱わない人たちに対しては同じ対応をしなければならない」と発言。「米国は中国と長期的に素晴らしい関係を持つことになるだろうが、この問題を正し、均衡を取り戻す必要がある」と語った。
クドロー氏は5日、政権が「細心の注意を要する交渉」を進めており、これにより関税賦課の必要がなくなる可能性があると言明。中国の不公正な貿易慣行を非難するよう他の主要国を説得することなどを通じて、米国が中国と合意できる可能性は依然あると、ワシントンで記者団に語った。