• リップルはジェミニとコインベースに金銭的提案していたと関係者
  • 大手交換業者で取り扱いがない事実は目を引く

仮想通貨で世界3位の「XRP」を発行するリップルは問題を抱えている。複数の銀行がリップルのネットワークと契約し、出資も行った。ただ米最大級の仮想通貨交換業者2社を通じた取引はまだ実現しておらず、この事実は目を引く。

リップルが努力していないわけではない。サンフランシスコに本社を置くリップルは昨年、仮想通貨交換業者のジェミニとコインベースに金銭的なインセンティブを提案した。非公開情報だとして匿名を条件に事情を直接知る関係者4人が述べた。

リップルの提案は、同社の将来的な成功の一端がジェミニとコインベースでのXRP取引にかかっていることを示唆している。だが、米当局は証券と見なし得る仮想通貨を取引所免許のない交換業者に扱わないよう警告するなど、リップルは大きな逆風に直面している。

事情に詳しい関係者によれば、リップルの幹部1人は昨年、現金100万ドル(約1億700万円)の支払いでジェミニにXRPの7-9月(第3四半期)取り扱い開始を説得できるか打診した。このほかにも、関連コストのカバーなど、さまざまな戦略を探ったという。

昨年秋のコインベースとの予備協議では、同社での取引開始を求めリップルは1億ドル余りに相当するXRPをコインベースに貸し出すと提案。返済はXRPでもドルでも可能だと持ち掛けたという。予備協議を知る関係者が語った。提案は書面を通じたものではないとしている。

ジェミニとコインベースはいずれも提案を受け入れなかったと関係者は話した。リップルの広報担当者エマリー・クレマー氏は、交換業者への提案を巡る情報の一部は不正確だとしながらも、細部を特定することは控えた。「われわれはXRPをより速くて安い世界的な支払いを可能とする最も流動性の高いデジタル資産としたいと考えている」と説明した。ジェミニはコメントを控えた。コインベースの担当者は特定の資産についてコメントはしないと語った。

交換業者を通じた仮想通貨取引実現のために支払いをするというのは必ずしも異例なことではない。オートノマス・リサーチはリポートで、「妥当と見なされる仮想通貨」であればコストは100万ドルからなどと指摘したが、このような数字は市場参加者同士の会話に基づくもので正確ではないとしている。