[メキシコ市 9日 ロイター] – メキシコ政府は9日、米国との協力関係を全ての側面から再検証する方針を明らかにした。不法移民の問題などでトランプ大統領が同国への敵対姿勢を鮮明にしているため、けん制した格好だ。
ペニャニエト大統領は8日、閣僚らに検証を指示。ビデガライ外相は、国境警備や移民問題、貿易、麻薬カルテル対策での協力などが見直しの対象になると述べた。外相は、協力関係を停止あるいは縮小するとの決定はまだ下されていないと語ったうえで、対米姿勢の厳格化を求める世論の高まりを受け、行動を取る必要があったと説明した。
「重要なのは、言葉だけで終わらせないことだ。この姿勢は実際の結果を伴う必要がある」と強調した。検証は「数週間」続く見通しで、その後、ペニャニエト大統領が米国との相違を基に決断を下すと述べた。米ホワイトハウスはコメント要請には国務省が応じるとしたが、同省からこれまでのところ返答はない。
トランプ大統領が前週、メキシコ国境の警備に州兵派遣を指示したことに関し、ペニャニエト大統領は国内事情の「欲求不満」をメキシコに押し付けるべきではないと強く反発していた。トランプ氏は州兵派遣に先立ち、人権団体が組織した中米諸国からの移民の「一団」が米国を目指して移動しているとのニュースを受け、メキシコが不法移民に「無策」であることを批判していた。メキシコは7月1日に大統領選を控えている。与野党の主要候補全員がトランプ氏の対メキシコ政策を批判している。