焦点は、面会の有無と、面会が事実ならば柳瀬氏の口から加計学園の獣医学部新設が「首相案件」という言葉が出たかどうかだ。中村氏は、面会はあったとの認識を示した。菅義偉官房長官は10日の記者会見で、野党が柳瀬氏の証人喚問を求めていることに対し「国会の場で答弁しているし、本日もコメントを出した」と述べ、応じない考えを示した。

現在は経済産業審議官の柳瀬氏は、委員会から質問要求があれば原則、出席して答弁しなければならない。ただ、昨年7月25日の参院予算委員会で「私の記憶する限りはお会いしていない」と繰り返し答弁し、10日も面会そのものを改めて否定した。現時点では国会でも同様の答弁をするとみられる。「首相案件」という文言は、「首相の意向」や「加計ありき」という野党などの主張に直結するだけに、格好の追及材料となる。政府高官は「首相は国家戦略特区を突破口に、既得権益による岩盤規制を打破する考えをずっと言っている。文書を作成した側が曲解したのではないか」と語る。「言った言わない」の議論が続く可能性がある。

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森友問題では、財務省は決裁文書の改竄(かいざん)と、理財局職員が昨年2月に森友側にごみ撤去費に関して口裏合わせを依頼していたことを認めている。国有地の8億円の値引きが適正だったかが改めて問われている。

麻生太郎副総理兼財務相は10日の記者会見で「誤った対応であるとはっきりしている」と認めたが、値引きについては「会計検査院からも法律違反とは指摘されていない」と述べ、正当性を強調し、引責辞任を否定した。森友学園の籠池泰典前理事長が財務省を訪れ、声を荒らげながら値引きを迫ったことは、すでに明らかになっている。

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日報問題では、昨年2月に当時の稲田朋美防衛相が国会で「存在しない」と説明していた自衛隊のイラク派遣時の日報が陸上自衛隊、航空自衛隊で見つかった。陸自は昨年3月時点で日報の存在を把握し、小野寺五典(いつのり)防衛相に報告が上がるまで1年も要したことになり、文民統制(シビリアンコントロール)の実効性が疑われている。

さらに南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸自の日報など、別の日報が次々と見つかった。小野寺氏は「ウミを出し切る」と述べ、大野敬太郎防衛政務官をトップとする調査チームが組織的隠蔽(いんぺい)の有無や経緯などの全容解明を急いでいる。

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会食時に獣医学部話題 15年4月以前、首相と加計氏<東京新聞>2018年4月11日 07時00分