12日のニューヨーク外国為替市場ではドルが上昇。シリア情勢を巡るロシアと米国の対立が緩和したとの見方から買いが入った。トランプ米大統領は環太平洋連携協定(TPP)に米国が復帰する可能性を模索すると議員らに話したと伝わり、融和的な姿勢に転じたと受け止められた。

トランプ大統領はシリア攻撃について、「すぐに起こるかもかもしれないし、当分起こらないかもしれない」と述べ、攻撃が差し迫っていないことを示唆した。ロシア指導部も冷静な対応を促し、戦争に関する発言を抑えた。トランプ大統領はまた、シリア対応を巡って国家安全保障会議(NSC)を開催すると明らかにした。

ニューヨーク時間午後4時59分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.1%上昇。ドルは対円で0.5%上げて1ドル=107円35銭。対ユーロでは0.3%上げて1ユーロ=1.2327ドル。

ユーロは一時、1.2300ドルまで下げた。欧州中央銀行(ECB)政策委員会の議事要旨はハト派なトーンとなった。議事要旨によると、メンバーは3月の会合で、地政学的な緊張が世界の成長見通しに影響を及ぼす可能性があるとの見方を示した。さらに、「貿易対立のリスク」に「幅広い懸念」を表明。「この対立が全関係国の経済活動に悪影響を及ぼすリスクが高まった」と指摘した。ドルは一時、107円43銭まで上昇した。過去1カ月、突破が困難な水準になっている107円50銭を前に上昇の勢いが弱まった。

欧州時間の取引

ドルは対ユーロで4日連続で下げていた流れが止まった。ドルの買い戻しが入ったほか、トランプ米大統領のシリア情勢を巡る決定を見極めたいとの雰囲気が強かった。

原題:Dollar Pares Gains as Fears on Trade and Syria Decrease(抜粋)
Dollar Climbs, Yen and Swiss Franc Fall as Syrian Tensions Ease(抜粋)
Dollar Climbs, Gains Limited as Traders Await Trump’s Syria Call(抜粋)