【ワシントン=加納宏幸】トランプ米大統領は日米首脳会談で、5月か6月初旬に開くとしている北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談に向け、安倍晋三首相からの助言を期待している。トランプ氏は核・ミサイル開発だけでなく、日本人拉致問題についても首相の意見を参考に米朝会談への対応を決める意向だ。
米政府高官は日米首脳会談を前に、「大統領は北東アジアの安全保障に関する安倍首相の見識に、大いに敬意を払っている」と述べるとともに、トランプ氏が北朝鮮を含む地域情勢について首相の見解を聞きたがっていると強調した。
首相は米朝会談に臨むトランプ氏に拉致問題の提起を要請する方針だが、同高官は昨年11月の訪日時に拉致被害者家族と面会した経験で心を動かされたとし、「大統領は北朝鮮について考えるときはいつも日本、韓国の拉致被害者、不当に拘束されている米国人のことを念頭に置いている」と述べ、米朝会談で提起する可能性を示唆した。
トランプ氏は日米首脳会談で中国の南シナ海進出についても協議し、「インド太平洋戦略」の重要性を再確認したい考えだ。