16日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが下落。午後は今月の安値付近での推移となった。一方で円は上昇。市場では当初、ロシアと中国が自国通貨を押し下げているとのトランプ大統領のツイートが材料視されたが、その後注目は企業決算や金融政策当局者の発言、経済データに移った。

トランプ大統領は朝方、米国が利上げをしている時期に中国とロシアが「通貨切り下げゲーム」を行っているとし、「容認できない!」とツイートした。ドルはニューヨーク時間、軟調なスタートとなったが、その後も下げを拡大した。ドルは当初ユーロや商品通貨に対して下げたが、その後、米国債利回りが上げを縮める中で円に対しても下落した。このほか月半ばのポートフォリオ調整も相場の動きに影響した。一方、トランプ大統領がロシアに対する追加制裁の計画を取りやめるとの報道を手掛かりにルーブルは上昇した。

ニューヨーク時間午後4時59分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前週末比0.3%安。ドルは対円では0.2%下落の1ドル=107円12銭。対ユーロでは0.4%値下がりし1ユーロ=1.2380ドル。

朝方発表された米経済指標は強弱まちまちだった。4月のニューヨーク連銀製造業景況指数は15.8に低下し、市場予想(18.4)も下回った。一方で3月の小売売上高は前月比0.6%増で、伸びは市場予想を上回った。ただ自動車とガソリンを除いたベースの小売売上高は予想を若干下回った。また全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した4月の米住宅市場指数は69に低下した(市場予想は70)。

ダラス連銀のカプラン総裁は、米国の債務比率が高いため、米経済は金利上昇の影響を受けやすくなっていると論文で指摘した。またニューヨーク連銀のダドリー総裁はインフレ率が当局目標の2%を「相当の幅で」上回らない限り、金融当局は緩やかな利上げ軌道を維持するとの見通しを示した。

欧州時間の取引

ドルは欧州時間も軟調。主要10通貨のうち9通貨に対して下げた。米小売売上高や金融当局者の発言を控え、慎重姿勢が広がった。またシリアの化学兵器使用疑惑に関連して米国がロシアに対する追加制裁を発表するとの報道にも反応し、ドルは売られた。