北朝鮮を訪れていた中国人観光客32人と北朝鮮人4人が、交通事故で死亡する大惨事が起きた。
中国中央テレビは23日、平壌駐在の中国大使館からの情報として、北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)で起きた交通事故で、中国人観光客が死傷したと報じ、バスが横転している様子を放映した。
また、同大使館はウェブサイトを通じて、この事故で中国人32人と、ガイドと思われる北朝鮮人4人が死亡し、中国人2人が重態だと明らかにした。
北朝鮮では、一度に多くの犠牲者が出る事故が多発しているが、遂に外国人も巻き込まれてしまった。
北朝鮮の交通・道路事情を巡っては、韓国の道路交通公団が最近、「北朝鮮当局が国民に安全運転を呼びかけている」との分析を出した。同公団は、金正恩時代が幕を開けた直後の2012年から2015年3月までに、北朝鮮メディアが外国の交通事故について繰り返し報道したことに注目。外国の事例を引き合いに、国民に「気を付けろ」と警告していると見たのだ。
同公団はまた、北朝鮮で交通事故が増加している原因として、飲酒運転と危険運転を挙げた。とりわけ高級外車に乗る高位級幹部の飲酒運転や危険運転は、たとえ金正恩党委員長が諫めたとしても、取り締まりは難しいだろうとしている。
もっとも、北朝鮮国内で「走り屋」説も出ている金正恩氏は、自分が運転するベンツを追い抜いた軍幹部を粛正してしまったとも言われている。交通事故よりも、こちらの方がよほど怖いかもしれない。
今回の事故について言うと、飲酒運転や危険運転ではなく、道路の状態の悪さが原因となった可能性がある。
米国の北朝鮮ニュース専門サイト、NKニュースは観光業関係者の話として、事故を起こしたバスは北京の旅行会社が募集したツアーの参加者を乗せて、開城(ケソン)から平壌に戻る途中だったと伝えた。また、事故のあった高速道路は、27日に予定されている南北首脳会談に向けて大規模な補修作業中だったとしている。
北朝鮮は道路事情が非常に悪く、外国人観光客が多く利用する高速道路も至る所に穴が空いていて、破損箇所を把握しきれていないドライバーの運転は非常に危険だ。さらに整備の行き届いていない山道では、バスが谷底に転落して大量の犠牲者を出す悲惨な事故が起きている。