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中国の報復関税で最も打撃受けるのは米農業セクター
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製造業には追い風だが、雇用1人増えるたびに4人余り失う計算
トランプ米大統領は自らの通商政策で短期的に「小さな痛み」が生じるかもしれないと述べた。新たに発表された調査は、米国の農業従事者が最も痛みを被る可能性を示唆した。
全米民生技術協会(CTA)と全米小売業協会(NRF)が委託して実施された調査によると、トランプ氏の提案通り500億ドル(約5兆4800億円)相当の中国製品に関税が科され、中国が公表済みの報復関税を導入する場合、米国では国内総生産(GDP)が29億ドル減少し、雇用は13万4000人前後失われる恐れがある。雇用喪失の6万7000人余りは農業セクターが占める。
さらに調査では、2016年大統領選でトランプ氏が勝利した州では約7万7500人の雇用を失う可能性があると試算した。CTAとNRFはトランプ氏の関税賦課に反対している。
トランプ氏は4月28日の集会で、「短期的には一定の問題が生じざるを得ないかもしれないが、長期的にはずっと良くなる」と発言していた。これに対し、NRFの対政府担当シニアバイスプレジデントのデービッド・フレンチ氏は、ホワイトハウスはこの仮説を証明する必要があると主張した。
今回の調査は、複数の条件下で雇用に及ぶ影響を見積もった。500億ドル相当の中国製品に対する関税導入とそれに対する中国の報復という最も可能性が高いとみるシナリオが実現する場合、機械や電子機器製造などの一部業界では輸入減で雇用が押し上げられる。だが物価上昇で消費が後退し、中国の報復関税で米国産農業製品が打撃を受けるため、雇用が1人増えるたびに4人余りを失う計算になるという。
原題:Trump’s China Tariffs Risk Costing U.S. Jobs, New Study Shows(抜粋)