[クアラルンプール 10日 ロイター] – 9日投開票のマレーシア議会下院選挙で勝利したマハティール元首相が10日、首相に就任した。マハティール氏は就任後の記者会見で、経済の安定化を優先するとともに、政府系ファンド「1MDB」の資金不正流用疑惑に絡み失われた数十億ドルの資金を取り戻す考えをあらためて示し、金融市場の懸念払しょくに努めた。
通貨リンギについては、下落の理由は見当たらないとした上で、「競争力を保つため過度な切り上げはできないが、できる限り安定させる」と述べた。
ナジブ前政権が導入した物品サービス税(GST)を廃止するとともに、中国の「一帯一路」構想に基づく大型インフラプロジェクトを含め、外国投資の見直しを行う考えもあらためて示した。また、マレーシアの債務の一部は額が大き過ぎるとし、再交渉する必要があると述べた。
BNYメロン・インベストメント・マネジメントのシニアソブリンアナリスト、アニンダ・ミトラ氏は、マハティール陣営の勝利について「英国の欧州連合(EU)離脱決定やトランプ氏の米大統領選勝利に匹敵する番狂わせだ」とし、政策の継続性を巡る不透明感からリンギが下落圧力にさらされるとの見方を示した。
これより先、与党連合「国民戦線(BN)」を率いるナジブ氏は、単独で過半数を獲得した政党はないとし、マハティール氏が直ちに首相に就任することに疑問を投げかけていたが、その後ツイッターで祝意を表明。円滑な政権移行に向け協力する考えを明らかにした。