【ソウル時事】北朝鮮国営の朝鮮中央通信は16日、米韓空軍が開始した航空戦闘訓練「マックスサンダー」を強く非難、16日に予定していた韓国との閣僚級会談を中止せざるを得なくなったと伝えた。また、6月12日の米朝首脳会談についても、取りやめを示唆した。これに対し、米政府は会談の準備を続ける姿勢を示している。

16日の南北閣僚級会談は、4月27日に板門店で行われた文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談を受け、南北離散家族の再会行事や将官級軍事会談の開催などについて協議するとみられていた。朝鮮中央通信の報道は、米朝首脳会談を前に米韓に揺さぶりを掛ける狙いがあるとみられる。

同通信は、米韓訓練について「(北朝鮮への)空中からの先制打撃(攻撃)と制空権掌握を目的としている」と批判、戦略爆撃機B52や最新鋭ステルス戦闘機F22などが投入されており、南北首脳会談で署名された「板門店宣言」に対する「露骨な挑戦」で「意図的な軍事的挑発」だと反発した。

その上で「米国と南朝鮮(韓国)が北南関係の改善と朝米対話局面が戦争演習の免罪符になると考えるなら、それより大きな誤算はない」と主張。さらに「米国も朝米首脳対面(会談)の運命について熟考しなければならない」と警告した。

韓国統一省によると、北朝鮮は16日午前0時半(日本時間同)ごろ、閣僚級会談の首席代表、祖国平和統一委員会の李善権委員長の名前で通知文を韓国側に送付。「マックスサンダー」合同訓練を理由に閣僚級会談を無期延期すると通告してきた。