規制改革推進会議で大田弘子議長(左)から答申を受け取る安倍晋三首相=首相官邸で2018年6月4日午前9時46分、川田雅浩撮影

 政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は4日、規制見直しの答申をとりまとめ、安倍晋三首相に提出した。放送制度改革では放送の政治的公平などを定めた「放送法4条」撤廃の提言を見送る一方、放送事業への新規参入の促進や放送番組(コンテンツ)の海外展開への支援などを盛り込んだ。

 首相官邸で大田議長から答申を受け取った安倍首相は「多くの具体的な提言をいただいた。イノベーションの視点、グローバルの視点、そして何よりもユーザーの目線に立って、総務省を中心に未来を見すえた放送のあるべき姿について総合的な検討を進めてもらいたい」と話した。

 放送制度改革を巡っては3月下旬、放送法4条を撤廃する案が政府内で検討されていることが判明。民放などが反発したほか、野田聖子総務相も「公序良俗を害するような番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が十分考えられる」などと述べ、慎重な姿勢を示していた。

 放送改革以外で答申は水産資源管理で新たなシステムを構築することや、養殖・沿岸漁業のための規制見直しを明記。運転手不足の解消を目指したタクシーの規制緩和やオンラインでの医療・服薬指導の実現、外国人留学生の国内就職の促進などを盛り込んだ。【森有正】