• 債券購入は12月で終了、全会一致で決定-10月から減額
  • 18年、19年、20年のインフレ率1.7%と予想、18年成長は2.1%見込む

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロ圏経済には高まったリスクを乗り越えられる力強さがあると述べ、債券購入を年内に終わらせる決定が妥当との見解を示した。

政策委員会は債券購入の月額を10月から150億ユーロ(約1兆9300億円)に減らし、12月で終わらせることで合意した。総裁によると、決定は全会一致だった。政策金利は少なくとも2019年の夏の終わりまで現行水準に据え置くと表明、市場予想よりも遅い利上げ見通しを受けてユーロは下落した。

当局者らは米国の輸入関税賦課やイタリアのポピュリスト政権を巡る不安などのリスクがある中でも、ユーロ圏経済が現在の減速を乗り切れるとの自信を示した。

ドラギ総裁は記者会見で「景気は比較的良好な状態にあるが、不透明感は高まっているとの認識の上で決定を下した」と語った。最近の「軟調局面」が想定よりも長引く可能性はあるものの、基調的な景気の勢いに関する見方は変わらないと述べた。

決定内容は以下の通り。

  • 債券購入は月額300億ユーロで9月末まで継続
  • 10-12月は月額150億ユーロとする
  • 満期償還金の再投資は購入終了後も長期にわたり続ける
  • 政策金利は少なくとも2019年夏の終わりまで、インフレ回復のために必要ならその後も現行水準にとどまる
  • 購入終了は今後のデータによって左右される

ユーロは急落し、フランクフルト時間午後8時付近には1.7%安の1ユーロ=1.1590ドルまで売られた。ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらは来年半ばごろの利上げを予想していた。資産購入終了時期の発表についてはエコノミストの半数近くが、7月になると見込んでいた。

ECBの政策金利は以下の通り。

ECB金利
中銀預金金利 マイナス0.4%
リファイナンスオペの最低応札金利 ゼロ
限界貸出金利 プラス0.25%

ドラギ総裁は、インフレ率を中期で2%弱の水準に収れんさせるため、政策金利を「必要な限り」据え置くとし、この日の会合では利上げについて協議しなかったと述べた。資産購入終了はデータ次第とし、軌道修正の選択肢を残した。

「金利はインフレ目標への収れんプロセスの状況に沿って変更される」とし、「今後1年の間に、収れん状況についてポジティブで確実な評価ができることを望んでいる」と語った。

経済に対する現時点でのリスクは「監視に値する」としながらも、景気軟化は悪天候や祝日の分布などの一時的な要因が影響した部分もあるとの見解を繰り返した。10年ぶり高成長を記録した17年からの揺り戻しだとも指摘した。

この日は併せて最新の経済予測も発表。それによると、18年成長率は2.1%となり従来予想の2.4%には届かない見込み。19、20両年の予想はそれぞれ1.9%と1.7%で据え置かれた。インフレ率は18年の予想が原油高を主因に1.7%と従来の1.4%から上方修正。19、20年も同水準が見込まれている。

Draghi Ends ECB Bond-Buying Era Saying Economy Can Beat Risk (1)