[上海 16日 ロイター] – トランプ米政権が総額500億ドルの中国製品に輸入関税をかけると発表したことに対し、16日の中国国営メディアは強い批判を展開した。ただ、交渉の余地に言及する論説も一部でみられた。

米国の関税発表に対し、中国も15日、同規模の対抗措置を導入すると発表した。

国営新華社通信は論説記事で「賢者は橋を築き、愚か者は壁を築く」と指摘し、「米中貿易摩擦に対して拡大・開放の道を歩むことが中国にとって最善の対応であると同時に、主要国が世界に対して負う責任でもある」と付け加えた。

共産党機関紙の人民日報は、トランプ政権の措置を「世界経済をかく乱する恥ずべき役を演じることへの執着」と表現し、「貿易戦争に勝者はいない。貿易戦争をけしかける米国の行動は世界貿易や経済のグローバル化、多角的貿易制度、世界のサプライチェーンにとって極めて有害だ」と非難。「米国の一国主義による誤った行動のつけを全世界が払わされることになる」とした。

人民日報系の環球時報も米国の措置を「大統領は、国民のために戦っていると確信している米有権者にアピールするためだけに国際貿易を乱す無責任な行為」と批判した。

英字紙チャイナ・デーリーは「最近の米中通商協議の中核精神に完全に反する措置であり、米国は危険な挑発をやめなければしっぺ返しを受けることになる」と警告した。

一方で「トランプ政権が頻繁に翻意することを踏まえると、貿易戦争が始まると決めつけるのは早い」とも指摘。中国は一貫した態度をとってきたとし、「中国は対話を歓迎すると同時に、貿易戦争の脅しを恐れない」と強調した。