• 貿易戦争が起こりつつある中、市場の慢心に「驚いている」-教授
  • 金融政策当局は早急な利上げに慎重を期すべきだ-元財務長官
クルーグマン教授、Photographer: Scott Eells/Bloomberg

ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授とサマーズ元米財務長官は、世界経済の先行きに暗影を投じた。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が関税の報復合戦を激化させる中、クルーグマン教授は市場の慢心に警鐘を鳴らした。サマーズ氏は先進国には次のリセッション(景気後退)への準備が十分整っていないとの見解を示した。

 

「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」と、クルーグマン教授はツイッターに投稿。「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかは分からない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%?30%?」と続けた。

ポール・クルーグマン氏、写真家:Scott Eells / Bloomberg

今年に入ってから米国株は2.8%上昇、新興国市場の株式は3.9%下落。世界の投資適格級の債券指数は1.8%下げている。米国の金融引き締めや欧州で緩和策が終了するのに伴い、世界成長が弱まる可能性があるとの懸念が広がっている。ブルームバーグがまとめたデータによると、世界の株式は予想利益の15倍前後で取引されており、過去10年の平均値を上回っている。

サマーズ氏は世界の主要中央銀行はインフレを抑制するためだけの利上げには慎重を期すべきだと指摘。

同氏は19日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「景気減速というのは起こるものだ」とし、「それが起こる時は、金利を500ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げるというのが通常の戦略だが、そのような余地はなさそうだ」と話した。

原題:Krugman, Summers Warn of Disruptive Threats to Global Growth(抜粋)