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北朝鮮カードは温存、使えば影響は大豆やボーイングにとどまらない
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中国は慎重、米中関係における最終兵器-Griskのフェン氏
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のタイミングを見計らったかのような中国訪問は、トランプ米大統領が発する輸入関税という脅しがもっと広範な米中対立に発展する可能性を浮き彫りにした。
3月以降で3度目となった金委員長の北京訪問は、習近平国家主席がトランプ大統領との貿易紛争で使えるカードが単に大豆輸入やボーイングとの購入契約にとどまらないことを示唆した。中国は米国にとって最大の貿易相手国であるだけでなく、北朝鮮に非核化を迫る「最大限の圧力」キャンペーンで最も重要な役割を担う。
国営の中国中央テレビ局(CCTV)は金委員長との会談を終えた習主席の発言として、北朝鮮と米国の双方が首脳会談での合意を実行に移し、関係各国が協力して朝鮮半島の和平プロセスを前進させることが可能になるよう期待すると報じた。中国は引き続き建設的役割を担う意向だという。
新たに2000億ドル(約22兆円)の中国製品が追加関税の標的にされる可能性が高まった現在もなお、習近平主席には北朝鮮という交渉の切り札がある。貿易から台湾関係に至るまであらゆる米国の政策が変化し、中国を世界のリーダーにしたい習主席の計画を阻止することがトランプ大統領の本当の狙いだとの見方が広がるなか、習主席はこの切り札を使う方向に傾く可能性がある。
中国はこれまでのところ、通商問題と北朝鮮問題を結びつけるような言動は避けている。政治リスクを分析するGRiskの共同創業者、チューチェン・フェン氏は「中国側は北朝鮮を交渉材料として利用することに極めて慎重になる」と指摘。「北朝鮮カードは米中関係における最終兵器として使いたい考えだろう」と述べた。
原題:As Kim Visits China, Xi Flaunts Bargaining Chip in Trade Dispute(抜粋)