[ワシントン 19日 ロイター] – 中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁解除に関する米政府合意に反対する米上院の与野党議員らは19日、上院が先に可決した同合意の無効化を盛り込んだ法案について、トランプ政権の圧力に屈せず支持するよう下院議員らに呼び掛けた。

米政府とZTEは今月7日、ZTEの米サプライヤーとの取引を禁止する措置を解除する和解に合意。上院は18日、この合意を無効とする項目を盛り込んだ国防権限法(NDAA)案を賛成85、反対10で可決した。

NDAA案を成立させるには上下院で異なる法案を擦り合わせて一本化し、再可決したうえでトランプ大統領が署名する必要がある。ただ、大統領は上院案に強く反対する見通し。トランプ氏は19日遅く、下院共和党の議員らと会合を開き、20日には上院議員らと協議する予定。

野党民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、ZTEに関する項目が上院で可決されたことに「励まされた」と述べたうえで、下院に「トランプ大統領の圧力に屈することなく」支持するよう訴えた。圧力に屈すれば、経済と国防両面で米国の安全保障が損なわれ、ZTEが米国民に「スパイ行為」を働くことになると警告した。

ZTEに関する項目の策定に関わった与党共和党のトム・コットン上院議員は、自身も参加する予定の法案一本化に向けた下院との協議について、「上院案の方向で協議が進められることに期待しているが、今後数週間の交渉で決まることになる」と述べた。

米政府との和解合意によると、ZTEは米サプライヤーとの取引再開の条件として、10億ドルの罰金を支払うほか、4億ドルの預託金を米銀行に供託する必要がある。同社は前週、10億ドルの民事制裁金を支払ったが、米商務省の当局者は19日、ロイターに対し、預託金契約を巡る作業を依然行っていると明かした。作業の完了後に制裁が解除されることになる。