【ワシントン=黒瀬悦成】米CBSテレビは20日、先の米朝首脳会談で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領に「ミサイルエンジン試験場の閉鎖」を約束したことに関し、米当局者が閉鎖の対象となる試験場は北西部東倉里(トンチャンリ)のミサイル基地「西海(ソヘ)衛星発射場」であると明らかにしたと伝えた。
トランプ氏は12日の首脳会談後の記者会見で、金氏がミサイル施設の閉鎖を約束したことを明かしたが、具体的な場所には言及していなかった。
米当局者などによると、同発射場は2008年ごろに設立され、北朝鮮国内のミサイル関連施設の中でも最大規模とされる。これまで、全米を射程に収める「火星15(KN22)」などの大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載される液体燃料式エンジンの試験や、ミサイルの発射実験が行われてきたという。
米専門家の間では、閉鎖が実現すれば北朝鮮のミサイル開発に一定の影響が出るとの見方もある。
北朝鮮は発射場の閉鎖時期について「近い将来」としただけで、具体的な日程は明確になっていないとされる。トランプ政権高官はCBSに対し、「北朝鮮との(非核化)交渉を進めるに際し、米国は試験場を引き続き厳密に監視していく」と述べた。
一方、米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は15日、西海発射場を含む北朝鮮国内各地のミサイル関連施設で、閉鎖や破壊を示す活動は現時点で全く確認されていないとする分析結果を明らかにした。