ワールドカップ(W杯)第2戦、日本対セネガルの一戦を一人静かに観戦。静かに観戦していたつもりだが、要所要所で「危ない」とか「うまい」、「やった」と一人で大騒ぎをしていた。本田圭佑が同点ゴールを決めた瞬間はあまりにも大きな声で喜びを露わにしたせいか、寝ていた家人を起こしてしまった。試合後のインタビューでどの選手もくちを揃えて「悔しい」と言っていた。その一言が実感できる試合だった。一人で興奮したあとなかなか寝付かれず、眠気を帯びた朝を迎えた。そして拙いファンの一人として「勝てる試合だった」と改めて思った。試合後に「悔しい」と感想を漏らす選手たち。1カ月前には考えられなかった光景だ。
ヴァヒド・ハリルホジッチ前監督が解任されたのは4月7日である。わずか2カ月半前のことだ。西野監督の就任後、テストマッチで2連敗。W杯の開幕を間近に控え絶望的な雰囲気すら漂った。この間、西野監督が何をどう変えたのか、よくわからない。だが、第1戦のコンロンビア戦で一発退場処分とペナルティー・ゴールが決まったとことで日本の空気は一変した。数的優位を背景にピッチに立つ選手に自信が蘇った。数的優位をバックに焦って攻めることもなく、落ち着いてゆっくりボールを回す。この辺の試合運びにベンチから指示があったかどうかわからない。ただ、以前の日本代表らしくない落ち着きがあった。同点に追いつかれたあとも、じっくりと攻め続けた。この裏に“西野マジック”はありやなしや。
第2戦のセネガル。相手はH組で最強との評価が定着している。フォワードのマネを中心にとにかく速い、うまい、高いと何拍子も揃っている。そんな中で大半のメディアは商売柄、僅差での日本の勝利を予想していた。個人的には負ける確率が高いと思っていた。よくて引き分け、下手をすると大差の敗戦もありうる。個人的な予想は悪い方に傾きがちだった。その試合が終わってみれば、「悔しい」引き分けである。セネガル相手に2点とることなど誰も予想しなかった。それにしても今回のW杯、前回の覇者ドイツが初戦でメキシコに敗れるなど予想外のことが起こっている。ブラジルがコスタリカに苦戦した試合も凄かった。これまでのポゼッション・サッカーに代わって、縦パス一発のスピードサッカーが主流になりつつあるような気がする。そんな中で日本は“チーム力”に磨きをかける。残るポーランド戦、個人的にも予選突破の期待が膨らんできた。