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難民への対応を協議する緊急首脳会議にはEU16カ国の首脳らが出席
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「われわれは解決に向け引き続き努力する」とメルケル独首相
欧州連合(EU)がブリュッセルで24日開いた難民問題への対応を協議する緊急首脳会議は、具体的な進展がなく終了した。パスポートなしの自由な移動を認める取り決めを崩壊させ、ドイツの連立政権内部で亀裂を生じさせかねない危機がさらにエスカレートする危険がある中で、根強い意見相違について首脳らは平静を装った。
ドイツのメルケル首相は、EU16カ国の首脳らが出席した会議後に「きょうは多くの善意と、幾つかの相違点は別として、多くの一致点があった。われわれは解決に向け引き続き努力する」と語った。
イタリアなど難民流入の最前線となっている国々は、国境警備へのEU各国からの支援拡大や加盟国間でのより均等な難民受け入れを主張。これに対し、ドイツを含む北部諸国は、南部諸国で当初難民申請を行った人々が、より豊かな欧州の中核国で保護申請を目指す「2次的な移動」を抑制したい意向だ。
協議の事情に詳しいEU政府当局者1人によれば、メルケル首相は欧州としての解決策に固執するのではなく、EU全体の合意が不可能な場合には、有志国が別の協定を締結することを提案したが、受け入れる首脳はなく、統一会派を組むキリスト教社会同盟(CSU)に対し、EU内の行き詰まり打開を目指すと約束していたメルケル首相にとって打撃となった。
難民申請者のドイツへの流入に歯止めをかけることができない場合、CSUが首相に反旗を翻す可能性が高まり、首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)とCSUとの歴史的な亀裂につながりかねない。難民問題への対応は、EUが28、29日に開く公式首脳会議で引き続き協議される。
原題:Stakes Rise for Merkel as EU Remains Divided on Migration Burden(抜粋)