• 堅調な経済指標、米銀株の上昇がリスク選好に寄与
  • 円は下落、米2年債利回りと原油相場の上昇で

29日のニューヨーク外国為替市場ではドルと円が下落。難民問題を巡り欧州連合(EU)首脳会議で合意に至ったことから、ユーロは対ドルで1カ月ぶりの大幅高となった。力強い経済指標や米銀株の上昇も、四半期末の市場でリスク選好に寄与した。

円は主要10通貨全てに対して下落した。米国債利回りと原油相場の上昇が円を圧迫した。

銀行の株主還元が大幅に増える見通しや、ムニューシン財務長官の発言を受けて株式相場は上昇した。長官はキャピタルゲイン課税の改革について言及し、中国と貿易戦争をしているわけではないと述べた。トランプ大統領が世界貿易機関(WTO)脱退を検討しているとの報道については、「誇張」だとして退けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.5%低下。ドルは対円で0.2%上昇の1ドル=110円76銭。対ユーロでは1%安の1ユーロ=1.1684ドル。

トランプ米大統領はFOXニュースに対し、税制改革第2弾として法人税率を20ー21%に下げる方向で検討していることを明らかにした。ゼネラル・モーターズ(GM)は自動車関税が発動された場合、米国内で人員削減に踏み切る可能性もあるとの見解を示した。これが伝わると、株式相場は伸び悩んだ。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が欧州連合(EU)加盟国首脳らに、貿易戦争がエスカレートすれば、予想よりも大きな影響が及ぶ可能性があると警告したものの、ユーロは堅調を維持した。

ドル指数は月間ベースで3カ月連続上昇、四半期ベースでは2017年入り以降で初めて上げた。

ドルは110円79銭の下降トレンドラインと15日高値の110円90銭をやや上回る水準でそれぞれ損失覚悟の買い戻しが誘われ、1カ月ぶりの高値となる110円94銭まで上昇した後、終盤には上げ幅を縮小した。

欧州時間の取引

EU首脳会議で難民・移民の流入阻止などで合意に達したことから、ユーロが上昇。その後はヘッジファンドなど機関投資家の売りで、伸び悩んだ。

原題:Dollar Finishes Soft But Closes Quarter Higher: Inside G-10(抜粋)
Euro Pares Gain as Hedge Funds Fade EU Summit Rally: Inside G-10