【ロンドン矢野純一】ロンドン警視庁は4日夜、英南部エイムズベリーで意識不明の状態で見つかった男女2人の検体から、今年3月の元ロシアスパイの暗殺未遂事件で使用された神経剤「ノビチョク」と同種の毒物を検出したと発表した。
現場は暗殺未遂事件が起きたソールズベリーから北へ約10キロの町。2人が3月の事件で使用された神経剤が残っていた場所に立ち入った可能性が高いとみて調べている。
同警視庁によると、2人は英国人。元スパイとは面識などはないという。30日午前に女性(44)が意識不明となり救急車で搬送され、5時間後に同じ家に住む男性(45)が意識不明の状態で見つかった。2人は重体。地元警察が2人の検体を政府の化学兵器研究所に送り、調べていた。
今年3月の暗殺未遂事件では、英国側の二重スパイでロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のセルゲイ・スクリパリ元大佐と長女ユリアさんが猛毒の神経剤「ノビチョク」で襲われた。神経剤の痕跡が見つかった2人が倒れていたソールズベリーのショッピングセンターや、立ち寄ったレストランなどで事件後、除染作業が行われた。
元大佐と長女は、すでに回復し退院している。事件を巡り、英政府はロシアが関与したとしてロシア外交官を追放するなど対抗措置を打ち出していた。