• ポンドはその後、下げ渋りー首相不信任案の懸念が弱まる
  • 債券利回り上昇やリスク選好の高まりで円売りに

9日のニューヨーク外国為替市場ではポンドが3週間ぶり高値から下げに転じた。英国のジョンソン外相が欧州連合(EU)離脱の政策を巡って辞任したことから、メイ首相に退陣圧力が高まる可能性が出ている。ただ、早急に首相不信任案につながるとの懸念が弱まり、ポンドは下げ渋った。

ジョンソン外相辞任への反応として、ポンドは一時0.7%下落したが、その後下げ渋った。保守党の党首選を組織する通称1922年委員会のグラハム・ブレイディー委員長は、首相不信任案の提出には十分な票が集まっていないことを明らかにした。その後、ジェレミー・ハント氏が外相に指名された。

ポンド安に加え、ユーロが下げに転じたため、一時0.4%下げていたドル指数は反発した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が慎重な政策運営方針をあらためて示したことが、ユーロ売りを誘った。

ドラギ総裁はECBは忍耐強く持続的かつ賢明であるべきだと発言。通貨同盟は未完成だと述べた。クーレ理事は現在の金融政策について、かなり順調に推移していると話し、ECB政策委員会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は、マイナス金利が恒久的であってはならないと語った。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前営業日比0.1%上昇。ドルは対円で0.3%高の1ドル=110円85銭。対ユーロではほぼ変わらずの1ユーロ=1.1751ドル。ポンドは対ドルで0.2%安の1ポンド=1.3260ドル。

世界的な債券利回り上昇やリスク選好の高まりを背景に、円は軟調となった。三菱電機が米中関税の影響で米国での一部製品値上げを検討していると伝わったこともドル買い・円売りを誘った。

欧州時間の取引

ユーロが3週間ぶり高値を付けた。ECB当局者がタカ派的なトーンを維持したことが買いを誘った。

原題:Sterling Drops as U.K. Political Turmoil Deepens: Inside G-10(抜粋)
Pound Pares Loss Amid Focus on U.K. Political Drama: Inside G-10
Euro Gains as Pound Advances on Soft-Brexit Bets: Inside G-10